ドイツサッカーの裏の裏……って表だ!BACK NUMBER
今季ブンデスで輝いたスターたち。
ベスト11長谷部誠とワインの逸話。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byGetty Images
posted2019/05/28 08:00
バイエルンの逆転優勝の一方で日本人として誇らしいのはやはり、長谷部誠の円熟ぶりだろう。
長谷部と元同僚とワインの助け。
その一方で、フランクフルトの国内外における躍進に貢献した35歳の長谷部誠、ブレーメンの切り札だった40歳のクラウディオ・ピサロらベテランの奮闘も忘れてはならない。
なかでも驚きだったのは前者だ。リベロがすっかり板につき、独自の平均採点を元に選定する『キッカー』誌の年間ベストイレブンに名を連ねた。「ワインのようだ。年を重ねれば重ねるほど良くなる」と例えたのは、フランクフルトのアドルフ・ヒュッター監督だ。
余談だが、長谷部とワインと言えばこんなエピソードがある。明かしたのはヴォルフスブルクで苦楽をともにしたズビェズダン・ミシモビッチだ。『エルフ・フロインデ』誌でこんな風に回想している。
「エディン・ジェコと長谷部誠、グラフィッチ、アンドレア・バルザーリとよく夕食に行ったことを覚えている。ドイツ語で意思疎通できたのはエディンだけ。でも、問題なかったよ。妻曰く『ワインの助け』があったからね(笑)」
その長谷部も今ではすっかりドイツ語をマスター。ピッチ上の指揮官として味方に的確な指示を飛ばしている。
それにしても長谷部が同世代の“ロベリー”より脚光を浴びる日が訪れるとは誰が想像できたか。
一時代を築いた2大レジェンドのバイエルン退団に一抹の寂しさを覚えるが、日本が誇る名手やブレーメンの偉大なる点取り屋の物語は今後もドイツで紡がれる。大型補強を公言済みのバイエルン、前述のように戦力増強に成功したドルトムントによる優勝争いも再び熱を帯びるだろう。
すでに来シーズンが待ち遠しいファンは少なくないはずだ。