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壮大な自然と世界のワザに息をのむ。
“登山発祥の地”でリードW杯が開幕。 

text by

津金壱郎

津金壱郎Ichiro Tsugane

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photograph byAFLO

posted2018/07/27 11:00

壮大な自然と世界のワザに息をのむ。“登山発祥の地”でリードW杯が開幕。<Number Web> photograph by AFLO

アルプスの壮大な山脈を背景に熱戦が繰り広げられた。

楢﨑智亜がキャリア3度目の表彰台。

 男子はヤコブ・シューベルトが優勝。9月にオーストリアで行われる世界選手権で自国優勝を目指す27歳が幸先のよいスタートを切った。2位は昨年のリードW杯年間王者で35歳のロメイン・ディグランジュ(フランス)。3位には6月下旬からオーストリア・インスブルックで合宿を積んだ楢﨑智亜が入り、リードW杯でキャリア3度目の表彰台に立った。

 ステファノ・ジソルフィ(イタリア)、マックス・ルディジェ(オーストリア)、ミン・ヒョンビン(韓国)、ドメン・スコフィッチ(スロベニア)といった実績十分な選手たちが決勝8枠に顔を並べるなか、昨年の同大会で決勝に残った波田悠貴も、しっかりとファイナリストとなり8位になった。

 そのほかの日本勢では、豊富な国際大会の経験を持つ3選手が準決勝に進み、藤井快(こころ)が10位、中野稔が14位、緒方良行が19位となったが、大きな驚きはリードW杯のデビュー戦となった18歳の2選手が、抜群のパフォーマンスで準決勝に進出したことだった。

 昨年は世界ユース大会のユースA・リードで優勝した高校3年生の田中修太は、予選2課題を手堅くまとめて予選を突破。準決勝では決勝進出ラインに3手及ばなかったものの、12位という好成績を残した。

 もうひとりの18歳、大学1年の本間大晴は予選課題の1本目を10手目でフォールし、この課題の順位は66位。予選突破が厳しい状況で迎えた予選2本目で、昨年のリード・ジャパンカップを制した底力を見せた。出場91選手中わずか4人という、この課題の完登者となって準決勝進出を果たし、最終的に16位でデビュー戦を終えた。

 キッカケを掴むと大化けするのは若いアスリートならではだが、この開幕戦の準決勝進出で自信を手にした田中修太と本間大晴は、次戦のフランス・シャモニー大会でさらに世界を驚かせる。

【次ページ】 モンブランの麓の渓谷で新時代が。

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