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ダルが称賛された「Class Act」。
マイナー登板後の弱気と感謝の印。
posted2018/07/01 08:00
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Kyodo News
カブス傘下のシングルA級のマイナーリーグ球団は、インディアナ州サウスベンドという人口10万人を少し超える田舎町に本拠地を置く。ニューヨークやシカゴなどの大都市に比べると日本人には馴染みの薄い町だが、アメリカ人にとっては名門ノートルダム大学があることでよく知られている(大学フットボールを題材にした映画「ルディ/涙のウイニング・ラン」の舞台だ)。
6月25日の午後6時30分を過ぎた頃、雲一つない青空の下、サウスベンド・カブスの本拠地フォーウインズ・フィールドに、マイクを通した野太い男の声が響き渡る。
“How are youuu?”
独立採算で成り立つマイナーリーグの各球団は、工夫を凝らしてファンとの距離を縮めて盛り上げる。
この日は場内アナウンサーが“How about youuu?”とか、“Good to see youuu!”とか、煩いぐらいに“You”を強調して満員の観客を煽っていた。
登板見たさに収容人員を超える観衆が。
それは、右上腕三頭筋の腱炎で故障者リスト(DL)入りしているシカゴ・カブスのダルビッシュ有=“Yu” Darvishが、リハビリ登板にやって来るからだった。
地元メディアによると、前日午後になってチームがダルビッシュのリハビリ登板を発表した途端、2800枚のチケットが売れたという。滅多に出ない立見席も売り出されたお陰で、最終的には収容人員5000人をはるかに超える6948人が詰めかけた。
チームの公式ツイッターを含むカブス関係のSNSには、ダルビッシュを応援するメッセージが溢れた。それはシカゴの地元紙が控え捕手のクリス・ギメネスの証言を基に書いた「ダルビッシュはファンから嫌われていると信じている」という報道と相反するものだった(後にギメネス本人は「真意と違うことがニュースになってしまったんだ」と弁解しているが)。