向上心を責めることはできない。

　ところで、右投手の投げる横滑りをするスライダーは、ボールの中心よりも右側を握って投げることが多い。そうなれば人差し指は無視できない。

　人差し指で投げるという感覚が呼び起されたことで、直球を投げる際にも少なからず影響があったと考えられる。ほんのわずかだが、右腕が身体の遠くを回るようになったことで、今の結果に至ったのではなかろうか。

　しかし、だからといって千賀を責めることはできない。

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　昨年はWBCで大活躍。シーズンではパ・リーグ勝率第1位のタイトルに輝いても「僕はまだまだ」と満足しなかった。防御率は昨年2.64、一昨年2.61を記録しても「中途半端。だから今年は1点台を目指す」とまで言いきった。

　どれだけ実績を積み上げてもゴールはない。頂上の見えない山に立ち向かうのが「選手」という生き物だ。

　だけど、ガムシャラに突き進むだけではなく、時には退いて少し遠回りをするのも勇気ではなかろうか。

　選手にとって、最大の敵は怪我だ。

　千賀には異次元なピッチングを、そして未来の彼がどのような道を進むのかを、これからもまだまだ見せてほしい。まずは軽傷であることと、早い復帰を願う。