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村田諒太の相手は「速いが脆い」。
追って、殴って、倒して世界王者に。

posted2017/05/17 17:00

 
村田諒太の相手は「速いが脆い」。追って、殴って、倒して世界王者に。<Number Web> photograph by AFLO

たとえばフライ級では10人以上の日本人王者が過去にいるが、ミドル級では竹原慎二1人しかいない。世界的な層の厚さは想像を絶する。

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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 日本人選手として2人目、48年ぶりに五輪金メダルを獲得した村田諒太(帝拳)が20日、有明コロシアムでいよいよ世界初挑戦の舞台に立つ。

 ミドル級で日本人選手が世界タイトルを獲得した例は1995年の竹原慎二ただひとり。国内でのミドル級世界タイトルマッチ開催も、実に15年ぶりのこととなる。日本人にとって遠い世界だったミドル級で、村田はオリンピックと同じように、プロの世界でもゴールドに輝くことができるのだろうか。直前情報を踏まえて、試合の行方を占った。

 WBA世界ミドル級王座決定戦で同級2位の村田が拳を交えるのは、カメルーン出身のランク1位、アッサン・エンダム(フランス)だ。

 15日に帝拳ジムで開かれた公開練習では、軽快なフットワーク、スピード感あふれるミット打ちを披露。村田対策をうかがわせるコンビネーションも惜しみなく報道陣に見せ、ジムをあとにする記者の何人かは「これは強いな」とうなった。

プロでのキャリアを考えればエンダム有利だが……。

 エンダムは記者会見で次のように語った。

「村田はグレートなボクサー。オリンピックで金メダルを獲っており、リスペクトしている。確かに素晴らしい戦績だが、勝ってきた相手はどんな相手だった? 今度の相手はアッサン・エンダムだ」

 村田はデビュー以来、無傷の12連勝9KOをマークし、世界戦の舞台にたどりついた。一方のエンダムは35勝21KO2敗で、試合数は村田の3倍。その内容も、暫定王者からの自動昇格ながらWBO世界王座に就いた経験があり、世界タイトルマッチも複数こなしている。

 村田はといえば、12戦のうち世界ランカーとの対戦は、7戦目で当時WBO15位にランクされていたダグラス・ダミアオ・アタイデ(ブラジル)だけ。アマで村田は138戦、エンダムは84戦だが、プロのキャリアで比べると、エンダムが村田を大きく突き放している。こうした事実を踏まえれば、試合の予想は「エンダム有利」に傾くであろう。

【次ページ】 村田が無骨に前に出て、エンサムがさばく構図。

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