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LA・クリッパーズ、なぜ強い?
HC兼社長ドック・リバースの裏技。
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph byJonathan Bachman/Getty Images
posted2016/12/06 11:30
クリッパーズの3番を担うバームーテ(12番)はチームをどこまで牽引できるか。
一流のHCだが、一流の経営者ではなかったドック。
ヘッドコーチ兼球団社長(当初はGMだったが、2014年に球団社長就任)でもあるドック・リバース。
ヘッドコーチとしての実績は申し分ない。
言うまでもなくセルティックスのヘッドコーチ時代ケビン・ガーネット、ポール・ピアス、レイ・アレンのビッグ3を率いてNBA覇者に輝いている。またゲーム中の指揮レベルの高さには定評があり、特にタイムアウト後に組み立てるプレイの質はNBA一との呼び声が高い。
しかしその反面、経営者としての判断において全くというほど結果が出ていないのも確かだ。クリッパーズファンは素晴らしいヘッドコーチに喜びながらも、結果の出ない選手獲得を繰り返してきた経営者ドックにもどかしい気持ちを抱いてきた。
もうひとつの弱点とされているのが、ベンチメンバーの層の薄さである。スタメンのスター選手の年俸が高いため、控えは低年俸のベテラン選手をかき集めざるを得ないのがクリッパーズの現状。そのためスタメンの出場時間が必然的に多くなり、シーズン終盤はボロボロになりながら闘うパターンが続いている。
経営者の能力をコーチの能力で見事にカバーした。
しかし今年、そんなクリッパーズが現地記者達から話題になるほど好調なのは……なぜだ?
ドックは自ら、経営者として物足りない部分を、コーチとしての能力でカバーしたのだ。
今年のクリッパーズ、実はチーム構成は今までとあまり変わっていない。プレシーズンでは、スタメンの3番ポジションは明確になっておらず、ルーク・バームーテ、ウェスリー・ジョンソン、アラン・アンダーソンの3人から一番調子の良い選手を起用するやりかたで、ベンチメンバーも例年と同じベテランの短期ミニマム契約選手を集めた。
長年の課題が修正されておらず、開幕前、優勝の筆頭に考える記者も少なかった。
しかし、ドックは今いるメンバーで最大の効果をもたらす努力をしたのだ。