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ナックルボーラー大家友和の大勝負。
41歳でMLB、夢への公開トライアウト。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byKatsushi Nagao
posted2016/11/21 07:00
過去の実績を知る人には「なぜ?」の疑問が浮かぶかもしれない。しかし大家は再び大リーガーになりたいの一心で、ナックルに磨きをかけている。
「すぐに球団に報告したい」と語るスカウトも。
球場に詰めかけたスカウトは10数人いた。中でも熱い視線を送っていたのはオリオールズとレイズのスカウトだ。元ホワイトソックスGMで現オリオールズの特別スカウトのロン・シューラーもその一人だった。
「もう少しスピードが欲しいけれど、それは投げていく内に何とかなるから心配はしていない。変化や制球力は申し分ない。すぐに球団に報告したい」
とはいえ、来年41歳になるナックルボーラーと契約するのは、どんな球団にとっても勇気のいることだ。それは大家自身も分かっている。
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「さすがに今日いたスカウトも、今すぐメジャーで通用するレベルを求めているわけじゃないでしょうけど、(ナックルボーラーを)育てるにしても、年齢が年齢だけに、そう何年も待ってくれるわけじゃない」
それでも、マイナー契約で潜り込みさえすれば、後はマイナーリーグの公式戦でしっかりと結果を残すだけ。裏を返せば、それだけ自信があるということかも知れない。
「ナックル投げるようになって5年になりますけど、最初は63マイル(時速約101キロ)ぐらいだったのが、今日は67マイル(同108キロ)ぐらい出ていたから、ウェイクフィールド(66マイル=同106キロ)と同じぐらいのレベルにはなった。さすがにディッキー(75マイル=同121キロ)みたいに速くは投げられないだろうけど、70マイル(同113キロ)出せるようになったら、もっと勝負できると思う」
「投げられるチャンスを貰ったんだから……」
ティム・ウェイクフィールド(元レッドソックスほか)からR.A.ディッキー(ブレーブス)へと引き継がれたナックルボールの系譜は、今季13勝を挙げたスティーブン・ライト(レッドソックス)が継承しているが、大家はその系譜に名を連ねようとしている。
「僕って、引退しそこなった選手ですからね」
と大家は冗談半分に言い、笑った。
「そんな選手がトライアウトとは言え、またアメリカで投げられるチャンスを貰ったんだから、そりゃ嬉しいですよ」
好感触を得た公開トライアウト。果たして大リーグは大家にラスト・チャンスを与えてくれるだろうか――。