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リオパラ観戦ガイド。
~注目選手を日ごとに紹介!~
posted2016/09/12 18:00
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph by
AFLO
テニスの国枝慎吾選手や競泳の一ノ瀬メイ選手、山田拓朗選手、陸上短距離の辻沙絵など注目の選手だけでなく、多くの実力ある選手がいて、チームがあることを、なるべく多くの皆さんに知って欲しいと思っています。
そこで、雑誌「Sports Graphic Number」(9月16日臨時増刊号)の最新号より、特集記事「リオパラ観戦ガイド」の前半部分を特別にウェブ転載いたします!
「金しか考えていない」。水泳・木村が勇躍する。
< 9月13日(火) >
この日は水泳が熱い。'15年の世界選手権で100m平泳ぎ&バタフライの2冠を飾った視覚障がいの木村敬一は、両種目それぞれロンドンでは銀・銅で「リオでは金しか考えていない」と豪語。100m平泳ぎで金を目指す。S9クラス(肢体不自由)の男子50m自由形で頂点を狙うのは、25歳の隻腕スイマー、山田拓朗。史上最年少の13歳でアテネ大会に出場し、4大会連続となる“若きベテラン”も初メダルに準備万全だ。
定番の水泳もいいが、障がい者向け競技のボッチャも新鮮な面白さを提供してくれる。目標球に向けてボールを投げ合い、より近づけた方が勝ちという「地上のカーリング」は、緻密な戦略や駆け引きが楽しめる。日本は前日に決勝を行なう団体戦でのメダルも期待されるが、この日は個人戦の初日。BC2(上肢で車いすの操作可能な脳性麻痺者)クラスには3大会連続出場のエース廣錫隆喜、国内で彼と並び立つ代表主将の杉村英孝が出る。
ウィルチェアーラグビー、スウェーデンとの初陣へ。
< 9月14日(水) >
前回大会4位、現世界ランク3位で今年6月には同1位のカナダに初勝利するなど、金メダルも夢ではないウィルチェアーラグビーがいよいよスタート。初戦でスウェーデンを破って勢いに乗りたい。主将の池透暢を中心とする日本の躍進はもちろんだが、車いすがぶつかる迫力や、バスケの要素も取り入れたラグビーとは“似て非なる”新感覚のスポーツとしても楽しめるパラならではの競技だ。
この日、メダルが見られるとすれば、4年前に知的障がいのクラスで日本初の金メダリストとなった水泳の田中康大が連覇を狙う100m平泳ぎか。当時樹立した田中の世界記録は更新されてしまっているが、メダルは十分射程圏内だろう。そして、同じ“水”の競技なら今大会より正式種目に採用されたカヌーの予選も楽しみ。日本人では18歳の瀬立モニカが女子で出場するが、彼女は次の東京大会で同競技の会場となる江東区出身。今から注目しておいて、決して損はない。