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カメラマンが呟いた「うん、完璧」。
藤田菜七子騎手の緊張撮影秘話。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byMakoto Hada
posted2016/05/19 12:30
藤田菜七子の夢はダービー制覇。師匠の根本康広は1987年の日本ダービーを制した人物だ。藤田はこれまで中央3勝。GI騎乗条件の31勝が当面の目標になる。
応援したくなってしまう“何か”がある。
少し困ったように馬の機嫌をとりながら撮影される菜七子騎手を見て、ある厩務員の方はこう言う。
「去年、ウチに実習に来たころは、ちょっとキツく言っただけで泣きそうな顔してたけど、すっかり打ち解けたね」
そんな彼女に対する温かい眼差しを見ると、厩舎でどれだけ愛されているのかが伝わってくる。根本調教師も言っていたが、なんだかわからないけれど応援したくなってしまう、菜七子騎手には周囲をそんな気にさせる“何か”があるのだ。
最後は根本調教師も交えての撮影。満面の笑みで盛り上げる根本調教師につられるように、思わず菜七子騎手も頬を緩ませる。なごやかな雰囲気につつまれて、撮影が進むなか、師匠への思いを聞いてみた。
「本当にいつも笑顔でニコニコしている先生で、怒っているのを全然見たことないぐらい。騎乗技術ももちろんたくさん教えてくださいますし、それ以外のことでも、人との接し方だったりも教えてくださるので、とても勉強になります」
無事、撮影が終了すると、羽田氏はファインダーから視線を外すと、ひとり呟いた。
「うん、完璧」
“ひな祭りデビュー”の時の心境、周囲の反応、そして目標とする人物や夢――師匠とともに語ってくれた菜七子騎手。どんな写真が誌面を飾ることになったのか、彼女の透き通った瞳の先にあるものとは――。Number902号「日本ダービー 栄光の瞬間。」でぜひ実際にご覧ください。