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開幕投手は涌井、でもエースは石川?
成瀬移籍のロッテを背負うのは誰か。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/03/24 11:55
田中将大、斎藤佑樹の活躍を横目に見ながら、社会人を経由してプロ入りした石川歩。期待通り即戦力の活躍を見せた男に、2年目のジンクスは縁遠いものに見える。
オープン戦最後の登板でも、優れた修正能力を発揮。
オープン戦最後の登板となった17日は、同じソフトバンク相手に優れた修正能力を発揮していた。
前回の対戦で痛打を浴びた柳田に対しては、第1打席は外角中心の配球で空振り三振に仕留めた。2打席目は真ん中よりのカーブをセンター前に運ばれたが、3打席目には結果的に四球だったものの6球中3球がインハイと、強気の攻めが光っていた。
この試合で言えば、長谷川勇也の打席でも、石川の向かっていく姿勢が見られた。
1打席目に13球粘られた挙句、14球目にシンカーを真ん中に投じてしまい右中間スタンドに運ばれてしまった。それでも、「フォアボールでもよかった。もうちょっと厳しいところを突けばよかった」という反省を即座に生かすところがさすがだった。2打席目はアウトローギリギリのストレートで見逃し三振。3打席目にも、初球を内角低めのストレートで誘い、2球目に外角低めのシンカーで注文通りのファーストゴロに打ち取った。
高望みではなく地道な努力が、安定感を生む。
同じ失敗を2度繰り返さないどころか、すぐさま修正し自分に優位な展開に持ち込む。新球の習得やスピードアップといった高望みをするのではなく、その時期ベストな練習や意識改革を地道にしてきたからこそ、石川の投球には安定感が生まれ、着実に進化もしているのだ。
24日のイースタン・リーグ西武戦での調整を経て、開幕2カード目の日本ハム戦が石川にとってシーズン最初の登板となる予定だ。
自身が開幕を迎える場所はQVCマリンフィールド。昨季10勝のうち9勝を挙げた本拠地のマウンドで、エースへの第一歩を鮮やかに飾る。