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「日本に天才がいるとしたら……」
ラモス瑠偉が認める本物のMFとは。
posted2015/03/19 11:25
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Shigeyoshi Ohi
バチン! バチン!
昼下がりのティールームで、ラモス瑠偉が右の拳を左の掌に打ちつけて、激昂している。
「どういうことだよ! なんでやねん!」
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それまで滔々とNumber創刊35周年記念号の取材に答えていた彼が突如として怒りをあらわにしたのは、インタビュー開始から90分近くが経過した頃だった。
怒りの矛先は、日本人――とりわけ、スポーツを取り巻く日本のメディアに向いていた。
「天才、って日本人がよく使う言葉だけど、その言葉の意味が僕はまだ理解できない。メッシは天才。クリスティアーノ・ロナウドも天才。これは世界中の人が認めてる。わたしの考えだと、ネイマールは彼らに近いけど、まだ天才のレベルには達していない。なのに、日本代表でレギュラーになれてない柿谷(曜一朗)が天才ってどういうことよ!」
「クビにならないために、どれだけ壁を相手にボールを蹴ったか」
彼の言い分によるとこうだ。1977年に20歳で来日するまで、自分はディフェンダーだった。
「昔の言い方で言うとスイーパーね。いまの日本代表だと今野(泰幸)がやってるところ。ブラジルではそこでプレーしてた。憧れていたのはブラジル代表のセンターバック、ルイス・ぺレイラだった」
生粋のミッドフィルダーではなかった彼が、日本代表の「10番」を背負って中盤に君臨するに至るまでの、人知れぬ艱難辛苦の日々。
「日本に来てから、クビにならないために、どれだけ壁を相手にボールを蹴ったか。どれだけ一人で、コーンを相手にドリブルしたか。正直、人のプレーも盗みました。川勝(良一)、ジョージ(与那城)、古前田(充)さん……それで上手くなったんだから。盗んで盗んで、ラモス瑠偉になって、日の丸背負って闘ったんだから」