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10倍の提示を蹴って、マイナー契約。
川崎宗則も“男気”の選手である。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2015/02/22 10:35

10倍の提示を蹴って、マイナー契約。川崎宗則も“男気”の選手である。<Number Web> photograph by Getty Images

昨シーズンは82試合に出場し、240打数、62安打、31得点、打率.258という成績を残した川崎宗則選手。スタメン定着を目指して、今シーズンの戦いが始まっている。

若手枠は埋まり、ユーティリティ枠は……。

 その一方で、首脳陣は若手選手の台頭にも期待を寄せているようだ。

 ここ2年、何度も二塁手として出場機会を与えられながら、メジャーでなかなか活躍できていない27歳のライアン・ゴーインス選手。そして、このオフにタイガースからトレードで獲得した24歳になったばかりのデボン・トラビス選手もメジャー未経験ながら招待選手としてメジャーキャンプに招聘されており、このキャンプでもしのぎを削ることになっている。

 2人とも、オープン戦での活躍次第では一気に正二塁手に躍り出る可能性を秘めている。

 そこに40人枠に入っているスティーブ・トールソン選手、招待選手としてラモン・サンティアゴ選手と川崎が加わる。

 その3選手は全員30代で、しかも複数ポジションをこなせるユーティリティ的要素が強く、アピールポイントがかなり似通っている。

 もちろんこのキャンプでのアピール次第で6人とも正二塁手のチャンスはあると思われるが、現状を冷静に分析すれば、正二塁手を争うのはイズタリス、ゴーインス、トラビスの3人で、残りの3人が控え内野手の座を争うという構図が浮かび上がってくる。

 とりあえず正二塁手を6人で争い、トラビス以外は控え内野手に回ることになるという熾烈な状況だ。

 しかもイズタリス、ゴーインスも複数ポジションができるユーティリティ選手であることを考えれば、川崎が目指す開幕メジャーがとてつもなく“狭き門”だということが理解できるだろう。

2年間の実績にもかかわらず、今回もマイナー契約。

 そもそもこの2年間それなりの実績を残しながらFAになった川崎に対し、ブルージェイズが今回もマイナー契約を提示した事実は重い。

 本当にブルージェイズが川崎を主力の1人として構想に入れているならば、交渉の段階でメジャー契約と40人枠を提示するのが当然だからだ。つまり、ブルージェイズは過去2年間の川崎の働きに満足しておらず、川崎はこのキャンプで更なる可能性を見せて首脳陣を納得させなければならないわけだ。

 置かれた状況はメジャー昇格を必死で目指す若手選手と変わらず、キャンプからがむしゃらさを要求されているのだ。もちろん川崎もそれを重々承知した上でブルージェイズとマイナー契約を結んでいる。

【次ページ】 日本からの10倍以上のオファーを蹴ってのメジャー続行。

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