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松坂大輔、5月にメジャー昇格も!?
肝心なのは故障と四球を避けること。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2013/04/01 10:30
自由契約が報じられた時に、自身のツイッターで「誤報ではありませんが、もう少ししっかりした内容にしていただかないと間違った認識をされている方が沢山いるようなので……」とコメントしていた松坂。
インディアンスとマイナー契約を交わした松坂大輔だが、開幕の時期はトリプルAのコロンバスで迎えることになりそうだ。
メジャー昇格を狙っていた松坂だったが、故障で登板を回避したこともあり、マイナー行きはやむを得なかった。
ただ、マイナーに行くにあたって、松坂はいったん契約を解除されたため、日本では「日本球界復帰?」といった報道も流れた。これが混乱の元となったのだが、実情は、労使協定によって、メジャーリーグで6年間のキャリアを持つ松坂の場合、開幕の5日前の時点でマイナー行きとなる場合、球団は10万ドルのボーナスを払わなければならなかった。インディアンスはその出費を抑えるために契約を解除し、再び契約を結び直したというのが真相である。
なぜ、こうした制度が存在するかというと、例年、マイナー契約を結んでメジャー昇格を目指すベテランは多いが、開幕直前にならないと昇格できるかどうか分からないため、もしも自由契約にされてしまった場合、春先は働き場所がなくなってしまう。つまり、無職の状態。そうしたことが頻発したため、選手の保護という観点から、10万ドルが支払われるようになったのである。
インディアンスとしては、先発陣に不安を抱えているため、「保険」として松坂をマイナーでキープしておきたかったのだ。
では、松坂にはメジャー昇格のチャンスはあるのだろうか? インディアンスの先発陣を分析してみよう。
不安だらけのインディアンス先発陣だから、チャンスあり!
今季のインディアンスはやる気満々だ。まず、監督に元レッドソックス監督のテリー・フランコーナを招聘した。グッドジョブ、である。
そしてヤンキースからフリーエージェントになっていたニック・スウィッシャーを、そしてまた、トップバッターに俊足のマイケル・ボーンを獲得し、打線は確実にアップグレードした。
しかし問題は先発陣で、かつてはレッドソックスで活躍したマスターソン、2010年にロッキーズで19勝をあげたヒメネスなど、ネームバリューのある選手はいるのだが、安定していない。