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澤不在で宮間はいかに機能したか?
なでしこ、最大の課題を検証する。
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byAsami Enomoto
posted2012/04/03 12:00

アメリカとの試合前、「一番大事なのはわたしたちがどういうサッカーをやるのかだと思う」と語っていたキャプテンの宮間あや。ブラジル戦に向けて、どういう修正をしてくるのか。
澤と宮間は常にお互いの長所を引き出してきたが……。
ドイツワールドカップの時は、澤が軸となって攻撃を組み立てていたが、一方で宮間が起点となってゲームを作ることで、澤が決定機に絡むシーンも多々あった。
つまり、澤と宮間は、お互いの長所を引き出し、攻撃力を倍加する“つがい”のような存在だったのだ。
それゆえ、もし前半に澤がいれば、もっと多彩な攻撃でアメリカに対して決定的なダメージを与えることができただろう……と考えてしまう。そうすれば逆に、アメリカに日本に対する苦手意識を与えることができたかもしれない、と。
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実際、その相棒である澤が不在になると、宮間たちはどうなったか。
「相手に勢いが出てきた時、どう自分たちのリズムを取り戻すか」
後半、アメリカが宮間と宮間にパスを送る田中明日菜らボランチに厳しくプレッシャーをかけ始めると、中盤でのミスが増え、なでしこの攻撃は著しく停滞した。
前半のように、中盤でボールを回してパスで打開する、お家芸ともいえるきめ細かな攻撃が見られなくなっていったのだ。
「後半、相手に勢いが出て前に来た時、それをどうかわして自分たちのリズムを取り戻していくのか。失点も、自分たちのリズムではない時間帯にしてしまったので、いかに失点せずに耐えるのかを考えないと。ミスもありましたし、後半はリズムをつかみ切れずに時間が過ぎて行ってしまったので、失点のことを含めて、次のブラジル戦までに修正したいと思っています」
試合後、宮間は厳しい表情で、そう語った。
前半に機能した、“高い位置で激しくプレスを掛け、ボールを奪ってショートカウンター”というスタイルは、夏のロンドンで90分間維持するのは難しい。