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<ランニングの巻> アキレス株式会社・津端さんが作った、年間600万足売れているこれが“瞬足”だ!
text by
秦野邦彦Kunihiko Shinno
photograph bySports Graphic Number
posted2011/11/23 08:00
そんな悩みはこの企画でスッキリ。今回は運動会で大活躍の靴に注目!
「子供たちに超大人気。幼稚園・小学校の運動会の
必須アイテム“瞬足”に大人用がとうとう出る!」
の巻。
天高く馬肥ゆる秋。今年も全国各地の幼稚園や小学校で運動会が開催されたが、いま子どもたちの間で大人気のシューズがあることはご存知だろうか。
発売から8年で累計販売3000万足を達成したジュニア用スポーツシューズブランド『瞬足』。年間100万足で大ヒットと言われる市場で、昨年630万足を売り上げたメガヒット商品である。
対象となる3歳~12歳の国内人口は約1137万人。単純計算で2人に1人がユーザーとなるから驚きだ。人気の秘密はなんといっても左右非対称のソール。今回は『瞬足』の生みの親であるアキレス株式会社のシューズ事業部商品企画開発本部・津端裕さんに開発秘話を伺った。
「9年前、少子化と安価な海外製品の流入でジュニア靴の売り上げが減少する中、“通学履き”に付加価値を付けた新ブランドを立ち上げることになったんです。最初はサッカーだ野球だと意見がバラバラでしたが、学校生活で一番のイベントって何だろうと突き詰めた結果、全員共感できたのが“運動会”なんです」
この靴の目的は、走るのが苦手な子に夢を与えること。
画期的なシューズが誕生するまでには、小学校の運動会に足を運んでは子どもたちの靴や走り方を12年間観察し続けてきた津端さんの意見が大いに役立っている。
「とはいえスポーツが得意じゃない子は、運動会に良い思い出を持っていません。この靴の目的は速く走るためだけではなく、走るのが苦手な子に夢を与えること。小学校のトラックは小さいから、どうしてもコーナーを曲がるとき遠心力に負けて転んでしまう。だったら踏ん張りが効くよう両足の左側にスパイクを付けたらいいんじゃないかという発想です。そんな靴で真っすぐ歩けるのかという声もありましたが、まずは作ってみようよと」
秀逸なネーミングについても訊いた。
「この商品は最初から漢字にしようと決めていました。海外で人気のクールジャパン風でもあるし、漢字ならシンプルにコンセプトを伝えられる。『疾風』や『韋駄天』など数ある候補の中から、最終的にソールに特徴があるんだから“足”を強調した名前にしました」