野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
「メークミルミル」のヤクルトが、
今年こそ「タフマン野球」でセを制す!?
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/09/06 13:15
6月4日の「タフマンDAY」、宮本は2安打と活躍。ヘルメットに見える特徴的なロゴマークは、「地球の内部から湧き上がるような強烈なエネルギーを視覚化したもの」だという
小川監督の言動に見える「タフマン野球」の美しさ。
そして、タフマン野球の長・小川監督は、今季、いつなんどきどんな場面でも選手を責めることはせず、「使った自分の責任です」と言い切っている。
彼らの言動から汲み取れるものは、まさに「人を思い、支え合う芯の強さ」。これぞスワローズの強さの源、そしてなんと美しきかなタフマン野球、である。
……と強引にこじつけてはきたが、現在もスワローズのチーム状態が改善されたわけではなく厳しい闘いが続くことは間違いない。
館山を欠いた投手陣、不調の救援陣を考えると、今後の連戦で投手のコマ不足感は否めず。捕手では骨折で痛み止めを射ちながら強行出場を続ける相川だけでなく、川本までが右足首靭帯の断裂で登録を抹消。好調とはいえない打線の劇的な復調も望めなさそうだ。
だが、今季のヤクルト「タフマン野球」の戦いぶりを見ていると、それでも易々と落ちるようなことはないように思えてしまう。
それは逆境においての粘り強さやチームワーク。40歳のMr.タフマン・宮本慎也の存在や、腰痛から復帰した林昌勇が本調子に戻れば、(通常のタフマンの10倍高麗人参が入った)「タフマンG1000」状態にもなるだろうが、それだけではない。
過密日程となる終盤戦は、「タフマン野球」でもうひと踏ん張り。
9月最初の週末、神宮球場に詰めかけたライトスタンドのファンの熱気。あれこそまさに「地球内部から湧き上がる強烈なエネルギー」ってやつだ。(特に「読売た~おせ、ぶっとばせ~」の声量は瞬間最大風速で全球団イチではないだろうか)。彼らもまた、横浜・広島ファンほどではないが、'01年以来優勝から遠ざかるチームを応援し続ける心の強い人=タフマンである。
ここ数年の神宮はスタンドの入りが寂しかっただけに、その存在はやはり大きいだろう。近年球場から足が遠のき、他球団のファンに飲み込まれる神宮球場を忸怩たる思いで眺めているヤクルトファンの方々よ。あえて書こう。あんたがたがタフマンなのである。
震災の影響で、9月は6連戦と9連戦、10月には10連戦があるなど、過密日程となる今季の終盤戦は、滋養強壮、栄養補給、疲れた時のもうひと踏ん張りが効く「タフマン野球」の真価が問われる時。
混戦が続くセ・リーグのペナントレース。往年の勢いは失くしても、逆境に踏ん張れる「タフマン野球」が栄冠を掴むのか。そして来年は「ソフール」あたりが来るのか。その動向にますます目が離せない。