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「シューマッハー引退」の噂の真相は?
デビュー20年目を迎えた皇帝の決断。 

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2011/08/26 10:30

「シューマッハー引退」の噂の真相は?デビュー20年目を迎えた皇帝の決断。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

「目標を3年間で達成するために、モチベーションは現在も変わらず高い」と発言して引退を完全否定するコメントを出しているシューマッハー。彼のマネージャーは「まったくのナンセンスだ!!」と怒り心頭の発言を

皇帝の思わせぶりな発言はチームに対する圧力か?

 シューマッハーが思わせぶりな内容のコメントを行ったのは、引退しようかどうか迷っていたからではなく、クルマの開発が遅々として進まないチームに対して、自分の進退を明確にしないことで、無言のプレッシャーをかけていたのである。その後、メルセデスGPはチームスタッフを増強すると発表。シューマッハーはメルセデスGPに'12年以降も真剣にF1を戦う約束を取り付け、復活への地固めを行っていたのである。

 イタリアで「引退報道」が発信されたのは、その矢先だった。すぐさまマネージャー兼広報のサビーネ・ケームがドイツのメディアを使って反論。イタリアの新聞社も「われわれのウェブサイトに掲載されていた記事は、事前に編集担当に知らされていなかったもので、現在はすでに削除している」と、事実上、引退報道が誤報だったと認め一件落着した。

「私は来年もF1にいる」とかまびすしい引退の噂を一蹴。

 しかし、勝てないシューマッハーに対して、周囲が「引退」の2文字を依然として囁き続けていることも事実である。それでも、皇帝はこう語る。

「いろんな噂や馬鹿げたストーリーを作る人がいるけど、私はその人たちが好もうが好むまいが、来年もF1にいる」

 生まれ故郷のドイツ・ケルペンからもっとも近いスパ-フランコルシャンで8月26日から開催される第12戦ベルギーGP。

 F1デビューから20年目の夏。42歳になった皇帝は想い出の地、スパで何を思い、どんな走りを披露するのだろうか。

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ミハエル・シューマッハー
メルセデスGP

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