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ザック構想の3トップで「真ん中」候補!
ハーフナー・マイク代表入りの可能性。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2011/06/25 08:00
父親のディドはオランダのトップリーグで活躍後、1986年にマツダSC(現サンフレッチェ広島)にGK兼コーチとして来日。母親はオランダの7種競技の元チャンピオン。弟は名古屋のユースチームでセンターバックで活躍中。1994年に家族全員で日本国籍を獲得した
名古屋のコーチ、父であるディドの前で決めたシュート。
ここまでの甲府の総得点はリーグ14位の11得点。その半数以上をハーフナーが決めている。我慢の戦いのなかから、少ないチャンスを活かしてゴールにつなげる。ユースから昇格した横浜F・マリノスでは出場機会に恵まれず、J2のサガン鳥栖、甲府と渡り歩いてきた。磨きをかけてきたタフなメンタリティーが、彼の勝負強さを生み出している。
今シーズンが開幕する前、名古屋グランパスでコーチを務める元日本代表GKコーチのハーフナー・ディドにキャンプ地の別府で話をする機会があった。今季の名古屋についてひとしきり聞いた後、最後に息子の話を振った。
彼は「他のチームのことでしょ?」と苦笑いしながらも、一言だけ言った。
「今年のシーズンは今まで以上に気持ちが入っているはずですよ。だから、どれだけ成長しているのか、戦うのを楽しみにしていますよ」
5月15日の名古屋戦で息子は父の面前でゴールを奪い、チームを勝利に導いた。父に成長を見せつけた瞬間だった。
強さもあり、巧さもある。3-4-3のトップ中央を務める資格がある。
ハーフナー・マイクが今後ザックジャパンに名を連ねてくる可能性は十分にある。
というのも、4-2-3-1の1トップまたは3-4-3の3トップ中央を務めるポジションでメンバーに生き残っているのは前田遼一、李忠成の2人だけ。今回のキリンカップでは森本貴幸が外れて興梠慎三が入るなど、指揮官が新たなストライカーを探していることは間違いない。
特に3-4-3の3トップ中央には、4-2-3-1の1トップよりも周囲のフォローが少なくなるために個の強靭な強さが必要条件になってくる。わかりやすく言えば、真ん中で“でん”と構えるタイプだ。
キリンカップのチェコ戦では李が体を張って懸命に務めたものの、欧州の強豪を相手にするとボールキープには苦労していた。元来、強さで勝負するタイプではないだけに、仕方のないところではあった。
今のところポストプレーに秀でる前田遼一が適役ではあるが、ザッケローニがタイプ的にハーフナーに目をつけてもおかしくはない。
指揮官がウディネーゼ、ミランで3-4-3を用いてセリエAに旋風を巻き起こしたとき、3トップの中央に置いたのは“ジャーマンタワー”との異名を持ったオリバー・ビアホフであった。191cmの長身を誇り、ヘディングの圧倒的な強さと優れた得点感覚でゴールを量産するばかりか、味方を活かすためのキープ力も抜群だった。