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制御不能男・内藤哲也の“新世代へのホンネ”「辻陽太は頭五つぐらい抜けている」…喧嘩屋モクスリーと大一番も「このベルトはオレのことが好き」 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2024/04/11 17:01

制御不能男・内藤哲也の“新世代へのホンネ”「辻陽太は頭五つぐらい抜けている」…喧嘩屋モクスリーと大一番も「このベルトはオレのことが好き」<Number Web> photograph by Essei Hara

辻陽太を倒し、IWGP世界ヘビー級王座2度目の防衛に成功した内藤哲也。「中5日」でシカゴに乗り込み喧嘩屋ジョン・モクスリーの挑戦を受ける

 辻はIWGPの原点に戻って「世界」をはずして元に戻せと言っている。

「新日本プロレスの価値を守るため、そして新日本プロレスのために、オレは内藤哲也に勝たなきゃいけない」

 40年以上も前、IWGPのトーナメントが初めて行われた経緯を少しでも知っていれば、それはもっともな論理で、たとえビジネス上の手段とはいえ、インターナショナル・レスリング・グランプリであるIWGPにいろいろな名称を加えるのはかなり不自然なのだ。

両国国技館の声援は“辻寄り”だったが…

 辻はIWGP世界ヘビー級王座戴冠の折には、IWGP世界を解体し、憧れだったIWGPヘビーに戻したいと言う。内藤も「世界ヘビー」に否定的だった一人だ。

「オレはこのベルトが誕生する時、最後の最後まで反対した男なんだけどね。そのIWGP世界ヘビー級王座を守ろうとしているのがオレであって、このIWGP世界ヘビー級王座をもとに戻そうとする挑戦者の挑戦を受けるわけで、なんか面白いものだなって改めて思いますよ。それにしても、辻陽太はすごいレスラーだな。ヤングライオンの時、なんでかわからないけど、彼に目が行ってしまってね。彼のことが気になった。そして数年後、こうしてオレの目の前に立っている」

 両国国技館には多くの内藤ファンがいた。辻を後押ししたいというファンもかなりいた。日本人的には判官贔屓もあるからか、辻への声援の方が多かった。ロス・インゴのファンから「ちょっと複雑」という声もある中、二人は戦った。辻が内藤とシングルマッチで戦うのは2021年8月の辻の壮行試合以来だった。

 だが、辻は及ばなかった。「もしかしたら」という善戦ではあったかもしれないが、内藤を倒せなかった。内藤のキャリアとしたたかさが辻を上回った。

 獲得したベルトを投げ捨てた制御不能の内藤に憧れて新日本プロレスに入った男は、「今のオレなら制御できる」と信じて戦ったが、3カウントを奪われてリング上でまたベルトが投げ捨てられるのを見てしまった。

【次ページ】 「辻陽太は新世代で頭五つぐらい抜けている」

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