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水原一平氏の通訳能力、米でのリアル評はどうだった? 在米プロ通訳者が分析「水原氏は憑依型」「並の通訳ではない」後任との最大の違いは… 

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奥窪優木

奥窪優木Yuki Okukubo

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posted2024/04/03 11:00

水原一平氏の通訳能力、米でのリアル評はどうだった? 在米プロ通訳者が分析「水原氏は憑依型」「並の通訳ではない」後任との最大の違いは…<Number Web> photograph by JIJI PRESS

名コンビだった大谷翔平と水原一平元通訳。その通訳能力は現地のプロから見ても卓越したものだったという

「大谷がエンゼルス入団の際に、北海道日本ハムファイターズで英語選手の通訳を務めていた水原氏を指名したのもその一例であり、レッドソックスの吉田正尚やパドレスのキム・ハソン選手の通訳も同様です。一方、通訳の側としても、選手が球団を去るようなことになれば、自身も仕事を失うことになるので、通訳業務を超えて献身的に選手を支える。ある意味、両者は一心同体に近い」(前出・米国人記者)

 とはいえ、水原氏が得ていた報酬は破格だったようだ。

「米スポーツ局『ESPN』の報道によると、水原氏は年俸30万ドル~50万ドル(約4500万円~約7500万円)を受け取ることになっていたとされています。これは私が知る限り、プロスポーツ通訳者の報酬の最高額。担当する大谷の破格ぶりに応じた金額になっていたのかもしれません」(同前)

 もちろん、彼が過去6年以上にわたって大谷の信任を得てきた背景には、たぐい稀な通訳センスがあったことも事実だ。

 その一例として、ニューヨーク州公認不動産エージェントで通訳者としても活動する木城祐氏が挙げるのが、ドジャース入団直後に地元TV局『SportsNet LA』のリポーターのキルステン・ワトソン氏のインタビューに応じた際の一幕だ。

水原氏のたぐい稀な「通訳センス」

 ワトソン氏は大谷に「一度入団を断ったドジャースに今回入団した理由は?」と質問。これに大谷は日本語でこう答えた。

「何て言うんですかね。それがあっても今回まあ全力でこう来ていただきましたし、そういう、何て言うんですかね、球団の姿勢であったりだとか、共感する部分ってのが大きかったのかと思います」

 本心からの率直な言葉に違いないのだろうが、聞き手からしてみれば少し曖昧だ。しかしこれを水原氏はこう訳している。

「As you said I have turned it down in the past one time but even though that happened they still came back strong and believed in me had all the faith and, that kind of meant a lot to me. So that’s the part of the reasons.」

「おっしゃる通り私は一度断りましたが、それでも彼らは諦めずに私の能力を信じてくれて、全幅の信頼をもって再び声をかけてくれた。それが理由の一部です」

 木城氏はこの訳出について「大谷のパーソナリティをそのまま伝えつつ、より具体性を持たせた内容になっている点が素晴らしい」と絶賛する。

【次ページ】 WBCでは「並の通訳ではなかなかできない芸当」も

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