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水原ショック渦中の大谷翔平だが…恒例の“高精度な成績予想”2024年版「MVPトリオのドジャース打線」なら狙える“史上4人目の快挙”とは 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/03/22 20:00

水原ショック渦中の大谷翔平だが…恒例の“高精度な成績予想”2024年版「MVPトリオのドジャース打線」なら狙える“史上4人目の快挙”とは<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

波乱の幕開けとなった2024シーズン、大谷翔平はどんな打撃成績を残すか予想した

 投手としては新球種スイーパーを駆使し、カットボールも活用するなど配球をガラッと変えて2年連続2ケタ勝利。しかし右肘靭帯を損傷し、昨年9月19日に手術を受けた。投手としては今季全休となる。昨年から導入された「ピッチクロック」の影響なども取りざたされている。

 打者としては、MLB公式サイトのスタットキャストによればMAXの打球速度は、2023年は全選手中4位の118.6MPH(190.9km/h)、2022年は119.1MPH(191.7km/h)で3位だったから、依然、トップクラスの打球速度を維持している。その打球速度があるから「バレル角度」が拡大し、本塁打を広角に打つことができ、日本人選手初の本塁打王になった。

 昨年のエンゼルスは、マイク・トラウトが故障でフルシーズン働くことができず。さらにアンソニー・レンドーンも稼働しない期間が長く、大谷1人にプレッシャーがかかっていた。四球が19も増え、前年より89打数も少ない中で44本塁打は素晴らしい。これはミスショットが減ったという証拠で、予想以上の要素だった。そして「極端な守備シフト」が禁止されたことで打率が上がることが予想されたが、果たして昨年、大谷は初めて3割打者になった。

昨季の大谷は、ナ・リーグ相手にどれだけ打っている?

 さて、今年の大谷は打者1本である。また、環境は大きく変わった。3つの要素をあげると……。

 1.チームがエンゼルスからドジャースに変わった
 2.リーグがアメリカン・リーグからナショナル・リーグに変わった
 3.結婚などプライベート、野球以外の環境も大きく変わった

 この変化は小さなものではない。彼のキャリアは今年、明確に「折り返し点」にいるといえよう。

 彼が置かれた環境の変化を詳細に検討しよう。

〈2023年:ア・ナリーグ別の大谷の打撃成績〉
 ア:91試合338打数106安打36本塁打76打点10盗塁60四球 打率.313
 ナ:44試合159打数45安打8本塁打19打点10盗塁31四球 打率.283

 一昨年からナショナル・リーグでもDH制が導入され、ア・ナ両リーグは実質的に競技環境の差がなくなった。また昨年からインターリーグで対戦するチーム数が増えたためにより多くのチームと対戦するようになった。

 初見の投手との対戦が多いナ・リーグのほうが打率が低く、本塁打も少ない。しかし対戦試合数が増えれば数字は上がっていくだろう。一方で、ナ・リーグとの試合では、四球をよく選んでいる。打席での冷静さが見て取れる。

エンゼルスとドジャースで大きく違う「前後の打者」

 昨年と今年で大きく違うのが「前後の打者」である。エンゼルスの上位打線と、ドジャースの上位打線に大谷を加えた打線の比較。成績は2023年。

【次ページ】 エンゼルスとドジャースで大きく違う「前後の打者」

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