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“闘うバービー人形”はブロンドの髪、ピンクのコスチューム…新人女子レスラー・Chi Chiがリングで見せるギャップ「気の強さは誰にも負けない」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2024/02/19 17:00

“闘うバービー人形”はブロンドの髪、ピンクのコスチューム…新人女子レスラー・Chi Chiがリングで見せるギャップ「気の強さは誰にも負けない」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

Evolutionの1期生として2023年3月にデビューした女子プロレスラーのChi Chi

張り手の打ち合い「歯ぁ食いしばれ」

 2023年は各団体で多くの新人がデビュー。意識する“同期”がたくさんいる。プロレスリングWAVEの田中きずなはライバルでありタッグパートナーであり「プロレス界で唯一の友だち」だ。

 センダイガールズに乗り込んで同年デビューの丸森レア&YUNAと闘った時には、勝利した後もパートナーのZONESともども殺気立っていた。もっとボコボコにしたかった、ということらしい。

「ドロップキックを受けても倒れないつもりでいたのに、尻もちをついてしまって。情けないし自分に腹が立ちました」

 Sareee興行では田中きずなと組みジャガー横田&アジャコングと対戦。完敗を喫したが「明日にでも闘ってやり返したい」と、ここでも負けん気を見せた。

 同じEvolutionのサニーは引退してレフェリーに転向したが、ZONESとの切磋琢磨は続いている。昨年末はセンダイガールズの新人トーナメント準決勝でも当たり、敗れたものの激しい攻防を展開した。張り手の打ち合いの中でChi Chiが「歯ぁ食いしばれ」と言い放った場面は試合のハイライト。意地と殺気はそれこそ新人レベルではなかった。ビジュアルとのギャップがあるから、余計に「怖っ!」となる。

 3月27日のEvolution1周年記念大会ではChi ChiとZONESのライバル対決が決定(レフェリーはサニーが務める)。重要な一戦だが「ZONESはビビってるはず。練習も一緒だからこそ、見ていて力が分かるはずなので。本当はやりたくないんじゃないかな」と、Chi Chiはあくまで強気だ。

「バービー人形になりたいんです」

 ブロンドの髪やピンクのコスチュームはバービー人形をモチーフにしたもの。レスラーとしての目標はと聞くと「バービー人形になりたいんです」と言う。バービー人形のように、というだけでなく具体的に人形になることが目標だ。

「世界的に活躍した人をバービー人形にする“ロールモデル”というシリーズがあるんです。エリザベス女王やマライア・キャリー、テニスの大坂なおみ選手も。プロレスを始めたのは知り合いのツテで誘われたのがきっかけなんですけど“活躍したらバービーになれるかも”という気持ちもありました。バービーを販売しているマテル社はWWEのフィギュアも出してるんですけど、私はそっちじゃなくてバービーになりたい(笑)」

 子供の頃、親に初めて買ってもらった人形がバービーだった。10代後半になると、その魅力が“かわいさ”だけでないことに気づく。

「思春期になってバービーを買わなくなった時期もあったんですよ。大人ぶりたいというか(笑)。洋服も、本当はピンクが好きなのに水色のものを着たり。でもずっとバービーが好きな人が世界中にいることを知って。バービーが好きすぎてアメリカに移住して、バービーのグッズに囲まれて暮らしてるアズサバービーさんというYouTuberもいるんです。

 そういう人たちを見て“大人になってもバービーが好きでいいんだ、ピンクが好きでいいんだ”って。16歳の頃ですね。バービーのテーマは“YOU CAN BE ANYTHING”。あなたは何にでもなれるし、何かになろうとするのに遅すぎることはないっていうメッセージが凄く好きですね。私もプロレスラーになろうと思って、実際なれました」

【次ページ】 プロレス入門前は通訳をしていた過去も

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