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木村一基「もう一度のタイトルへ泣き言は言っていられない」

posted2024/02/02 09:00

 
木村一基「もう一度のタイトルへ泣き言は言っていられない」<Number Web> photograph by Atsushi Hashimoto

text by

大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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photograph by

Atsushi Hashimoto

 8つ連なった黒星は衝撃だった。

 昨年6月から始まった第82期順位戦B級1組で、木村一基九段は開幕から8連敗を喫し、11月にB級2組への降級が決定してしまった。

「さすがに1回も勝てないのは不思議でした。でも思い返すとミスが多かったし、同じ戦法で3局負けて狙い撃ちされている。変化球が必要だったかもしれません」と木村は静かに述懐した。

 木村は1973年生まれの50歳。プロ入りは23歳と遅かったが、デビュー後は常に高勝率を挙げ、上位争いに食い込んだ。順位戦もA級まで昇り、タイトル戦にも出場した。だが獲得まであと一歩のところで手が届かない。タイトル戦での敗退が3回、4回、そして5回を過ぎると皆が首を傾げはじめた。受けに強靭な力を発揮し、「千駄ヶ谷の受け師」の異名を持つ木村はファンが多い。また関係者からは「人の心の痛みがわかる好漢」として人望があった。そんな木村の戴冠を皆が待望していたが、6回目も敗れてしまった。

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