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「1億円超の大減収」でも野茂英雄は笑っていた…あのドジャース入団から29年、大谷翔平が受け継いだ「日本選手の未来を背負う」という覚悟 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2024/01/26 06:01

「1億円超の大減収」でも野茂英雄は笑っていた…あのドジャース入団から29年、大谷翔平が受け継いだ「日本選手の未来を背負う」という覚悟<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1995年2月13日、ドジャース入団会見でオマリー会長と握手を交わす野茂英雄

野茂が語っていた「次の世代への思い」

 日本球界統一契約書で選手にたったひとつ許された権利、それが「任意引退」。それを手にした野茂は己を信じ、夢を追いかけた。

 だが、考えていたことはそれだけではなかった。まだメジャーで1球もボールを投げていない身でありながら、彼はすでに後へと続く後輩たちへ道を切り開く、強い覚悟を持ち臨んでいた。入団発表で彼はこう言った。

「球場に足を運んでもらって、魅力を感じてもらえるような選手になりたいです。次の世代にも勇気と希望が持てるように頑張りたいと思います」

イチローと野茂「日本選手の未来を背負う」覚悟の挑戦

 自らの夢を求め、弛まない努力を続け、メジャーでの立場を確立した日本人選手は数多くいる。だが、後へと続く日本選手の未来を背負い、挑んだ選手となれば、野茂とイチローだけになる。彼らは自分の立場を当初から自覚していた。

 2001年1月。日本人初の野手としてメジャーへ挑んだイチローは、キャンプインの約1カ月前にアメリカに渡った。理由は明確だった。米国で生活し、米国の野球環境で練習を行い、米国野球を肌で感じる。そして、対応するために何をする必要があるのか。それには時間が必要だ。当時を振り返り、彼はこんな言葉を残した。

「やってみてダメでした(成績を残せない)という訳には僕の場合、いきませんでしたからね」

 野茂同様、後へと続く者への責任をイチローもまた自覚していた。

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