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「仲良しグループ的な感じはなかった」銀メダリスト・平野早矢香が語る“卓球女子団体”チームワークの舞台裏「本番より代表選考の方がキツい」

posted2023/12/02 11:03

 
「仲良しグループ的な感じはなかった」銀メダリスト・平野早矢香が語る“卓球女子団体”チームワークの舞台裏「本番より代表選考の方がキツい」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ロンドン五輪の卓球女子団体銀メダリスト平野早矢香さん

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

2012年ロンドン五輪の卓球女子団体銀メダリストである平野早矢香さん。2016年の現役引退後はミキハウススポーツクラブアドバイザーとしてスポーツキャスターや卓球指導などで活躍している。インタビュー後編では来年のパリ五輪に向けて熾烈を極めている女子卓球の代表選考レースや、この5月に現役を引退した石川佳純さんについて語ってもらった。《NumberWebインタビュー後編/前編から続く》

◆◆◆

パリ五輪卓球の日本代表枠は男女それぞれ3人で、シングルス代表は選考ポイント上位2人。残り1枠はシングルス出場選手とダブルスを組み、団体戦のシングルスやダブルスでの活躍が期待できる選手となる。

日本は今回、独自の選考ポイントシステムを設定。来年1月の最終決定に向けて今はまさに大詰めを迎えようとしている時期だ。

オリンピックよりも代表選考のほうがキツい

――有力選手が目白押しの状況で代表枠はわずか3、シングルスは2。選考レースをどのようにご覧になっていますか?

平野早矢香さん(以下、平野) 今回に関しては選考のルールが今までと変わっています。これまでは世界ランキングの上位2名を選んでいくというシンプルなスタイルだったのですが、今回に関しては国内選考という独自のシステムに変わり、選手は今まで以上に試合の数が増えています。その部分が大変だと思います。

――ポイントが懸かる試合は、プレッシャーも大きくなりますね。

平野 オリンピックが懸かっていると、なかなか平常心で試合をすることができません。本来であれば普通に勝てる相手に対しても、力んだりプレッシャーを感じたりすることでいつものプレーができないことがある。ですから、選手側の目線でいうと、メンタル的にきついですよね。私が現役の時も、オリンピック本番よりも代表選考の方がきつかったイメージがあります。

――日本の場合、パリ五輪の選考レースは2022年3月から始まり、来年1月の全日本選手権までの約2年間となっています。期間が長く、メンタルの負担が大きそうです。

平野 一発勝負の選考会をする競技には、そこにバチッと合わせなければいけない難しさがあると思うのですが、卓球の場合は選考レースの期間を通して故障せず、状態を維持しながら、その中で強化もしていかなければなりません。その部分がすごく大変です。

――パリ五輪の選考では国内大会もポイントの対象になっていますから、別の難しさもあるのではないでしょうか?

平野 国際大会で勝つためと国内の選手と戦う時では、意識することや、やることに少し違う部分もあります。今の選手たちは海外のツアーに参戦して世界ランキングを上げなくてはいけないし、国内の選考対象の大会では国内のライバルに勝つための準備をしなければいけません。そこが難しいのかなと思います。

早田、平野、伊藤は「成熟期に入ってきている」

――女子は早田ひな選手がポイントで抜きん出ていて、現在2位の平野美宇選手と3位の伊藤美誠選手が大接戦になっています(※11月13日現在のポイントランキング)

平野 今回の国内選考のルールでは、代表選考会で1位になるのも重要ですが、2位や3位でもポイントがゼロではないので、コンスタントに上位にいることがすごく重要です。残りの大会では優勝を目指すのはもちろんですが、早いラウンドで負けないこともすごく重要なので、そこが難しいです。なぜなら、選考に絡んでいる選手同士の戦いとは別に、選考ポイントとしてはもう難しい選手も中にはいますよね。そういう選手は思い切った一か八かの勝負をしてくることもあるので、一勝することのハードルがより高くなります。

――元日本代表選手として、どのような気持ちで見ていますか?

【次ページ】 選考レース1位、早田の凄さとは?

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