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「なぜイチローの出場が増えないのか…」結果出しても“なぜか”ベンチ、漏らした本音…それでもジーターが驚いた“試合がない日”のイチロー 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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photograph byNaoya Sanuiki

posted2023/11/06 11:06

「なぜイチローの出場が増えないのか…」結果出しても“なぜか”ベンチ、漏らした本音…それでもジーターが驚いた“試合がない日”のイチロー<Number Web> photograph by Naoya Sanuiki

2012年シーズン途中から2年半にわたってヤンキースでプレーしたイチロー

 それでも試合出場への入念な準備は、1試合たりとも怠ることはなかった。試合が始まるとベンチから裏に入り、テレビモニターで試合の状況を確認しながらストレッチや打撃練習を続ける。そして試合中盤にまたベンチに戻って出番に備えるというのがルーティーンになっていた。

 あるとき、どのタイミングで代打に入るかわからない状況での準備の難しさを問われたイチローはこう答えた。

「そんなことは言うまでもない。それが代打ですから」

 メジャーで代打といえば、試合開始から中盤まではリラックスし、その後に準備を始め打席直前まで室内ケージで打つ選手が多いという。だがイチローは違った。

「ぎりぎりまで準備してというよりも、先に終えてダグアウトに座っている方が、(試合の感覚は)感じやすい。中にいて突然外に行ってというのは、僕は好きではない」

 それがイチローのスタイルだった。1回から入念に準備をしても出番が回ってくるとは限らなかったが、それでも毎日欠かさずそのルーティーンを繰り返した。

「試合に出ない方がしんどいですよ」

 あるとき、そんな本音を漏らしたこともある。

結果を出せど…ジラルディの難しさ

 ジョー・ジラルディ監督がスター選手との付き合い方やコミュニケーション能力に長けた指揮官だったら、それほど苦悩はなかったかもしれない。MLBで名将と呼ばれる監督はみな、そうした能力を備えている。もしその選手が全盛期を過ぎ毎日試合に出る立場でなくなったとしても、必ずしっかりとコミュニケーションを取り、いつどのような場面で起用するかを本人に前もって伝える。そうやって選手にリスペクトを示す監督を何人も見てきた。

【次ページ】 ジーターが絶賛した“イチローの姿”

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