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《藤井聡太八冠》「息長く活躍できるように」と語る21歳に…羽生善治53歳「更なる高みを」、師匠・杉本昌隆54歳「全冠制覇もゴールでは」 

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posted2023/10/12 11:05

《藤井聡太八冠》「息長く活躍できるように」と語る21歳に…羽生善治53歳「更なる高みを」、師匠・杉本昌隆54歳「全冠制覇もゴールでは」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

八冠全制覇を成し遂げた藤井聡太竜王・名人

 板谷四郎九段はプロ棋士として超一流の証である順位戦A級にたどり着き、のちの永世名人となる大山康晴との九段戦に臨んだ経験もある。しかしタイトルは奪えず1959年に引退。その直後、名古屋の一等地に「板谷将棋教室」を構えた。

 次男の板谷進を弟子とし、その進の弟子が杉本八段だったのだ。その杉本八段の弟子である藤井聡太が、半世紀の時を超えて史上最年少で二冠達成ならびに八段昇段を果たす。「原点は将棋が強くなること」を大事にした一門から、天才棋士は生まれたのだった。

 王座戦第4局の劇的な勝利によって、藤井は八冠全制覇を成し遂げた。それを祝福するコメントを杉本は以下のように残している。

《王座獲得、そして史上初となる八冠達成本当におめでとう。どんなに険しい道でも臆せず挑戦し、考え抜いた末に最後は必ず正解にたどり着く。それは、私たちが持っている「人間力」を大事にして、その能力を十全に発揮したからでしょう。全冠制覇も藤井八冠にとってはゴールではありません。これからも自分の信じる道を突き進んでください。期待しています》

羽生先生は長くトップで活躍しているので、私も…

<名言2>
私と藤井さんはどれぐらい違うんだろう? 32歳ですか。だいぶ離れてはいますけど、まあまあ頑張って目指します。
(羽生善治/Number1060号 2022年10月6日発売)

◇解説◇
 将棋界における「全冠達成」は藤井で史上4人目となった。

〈過去の「全冠独占」を達成した棋士〉
 升田幸三(1957年=三冠)、大山康晴(1959年=三冠、1960年=四冠、1963年=五冠)
 羽生善治(1996年=七冠)、藤井聡太(2023年=八冠)

 戦後昭和の大棋士である升田と大山、そして昭和末期から平成にかけて、さらに53歳となった今もトップ棋士として闘う羽生に続き、21歳の藤井の名が刻まれたことがその歴史的価値の大きさを示す。

「(全冠制覇について)チャレンジできる機会はなかなか来ないかなと思っていたので、達成できたことはすごく嬉しいです。全冠制覇という点で羽生先生と並ぶことができたと言えるかなと思うのですが、全冠制覇後も羽生先生はトップのプレーヤーとして活躍しているので、私も息長く活躍できるように目指していきたいです」

 王座戦第4局後の記者会見で藤井はこう語ったが――八冠達成となった記念すべき2023年、将棋界をまず大きく沸かせたのは1月に開幕した王将戦だった。挑戦者となったのは羽生である。「後手横歩取り」を駆使して王将戦挑戦者決定リーグ戦を全勝で勝ち抜けて藤井王将への挑戦権を手に入れると、〈藤井-羽生〉のタイトル戦が実現した。

【次ページ】 将棋の更なる高みを目指して前進を

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