それから約2週間後、前田はJAPANのユニホームを着て記者会見に臨んでいた。背番号は18。エース番号を背負っているところにも期待値の高さがうかがえた。

　そこから大学日本代表との壮行試合で先発のマウンドに立ち、2回を投げ無失点。W杯本大会でも一次ラウンドではアメリカ戦、スーパーラウンドでは韓国戦と要所で先発を任された。そして完全アウェイでもある地元・台湾との決勝戦でも先発マウンドに立った。

「大学JAPANと対戦させてもらって、2回をしっかり抑えることができて、そこで少し自信になりましたし、アメリカ、韓国、台湾と対戦したこともいい経験になったというか、自分にとって勉強した期間でした」

常に世代のトップとして名前を挙げてこられた前田。ドラフトではどんな評価が下るのか　©Hideki Sugiyama

侍ジャパンで得た「かけがえのない経験値」

　前田は中学時代も日本代表チームを経験している。とはいえ、侍ジャパンの一員となって国を背負ってのマウンドは別格だ。代表チームで過ごした約3週間は、前田にとってかけがえのない時間だったという。

「台湾の宿舎では森煌誠（徳島商）と一緒だったんですけれど、ピッチャーとしての意見交換だけでなくて、色んな話をして交流を深められました。高橋煌稀（仙台育英）からは試合前のインナーマッスルの鍛え方などを教えてもらいました。あと、仙台育英でやっている体幹のトレーニングを教えてもらってやってみたら、（マウンドでの）立ち方が変わりました」

　代表チームは各校から1人で参加した選手がチームに溶け込むのに時間がかかることもある。だが、今年のチームは「20人全員がすごく仲が良かった」と前田は振り返る。その中心にいたキャプテンの小林隼翔（広陵）の存在感も大きかったと話す。

「キャプテンは小林で良かったです。小林はオンとオフがしっかりしていてうまくまとめてくれたし、小林以外にもキャプテン経験のあるヤツが何人かいたので、小林に頼らずに全員がキャプテン、みたいな感じでやっていてチーム力がすごく良かったんです。（キャプテン経験のある）僕は何もしていません（笑）。僕は色んな人とコミュニケーションを取りながら、楽しく過ごすことができました」

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