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「羽生(善治)先生に“小高さん中飛車党だもんね”と言われて…」21歳女流棋士が語る“将棋での喜び”「西山朋佳さんは昔も今も憧れですが」 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2023/10/07 06:02

「羽生(善治)先生に“小高さん中飛車党だもんね”と言われて…」21歳女流棋士が語る“将棋での喜び”「西山朋佳さんは昔も今も憧れですが」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

羽生善治九段や西山朋佳女流三冠などから、小高佐季子女流初段は感銘を受ける日々だそうだ

 羽生九段は2023年6月から日本将棋連盟の会長となった。多忙な中でも順位戦B級1組で白星が先行し、前期は藤井聡太七冠に挑戦者として挑んだ王将戦の挑戦者決定リーグの開幕局でも近藤誠也七段に勝利を挙げている。
 

 そんな52歳に、小高さんも敬意を隠さない。

「ファンの皆さんも、すごい方であることはご存じですし、それは私たちもです。でも羽生先生はなんというか……オーラを出さず、普段から誰に対しても穏やかに接してくださっているんです。今思うと羽生先生のおかげで、イベントでもあまり緊張せずに臨めたのかもしれないですね」

今もなんですけど、西山さんは憧れなんです

 将棋は「信用の世界」です――と語っていたのは中村太地八段だ。盤上での強さはもちろん、盤外でのふとした行動1つをとっても〈評判〉となり、結果的にその棋士の強さをかたどっていくこともあるという。さらに各種スポーツに比べて、将棋は10代にしてプロとなったり、年齢差があっても対局するのが日常的なゆえ、憧れた人物と盤を挟むケースも多い。

 小高さんにとって、それにあたる存在は西山朋佳女流三冠である。

「女流棋士になる前から……今もなんですけど、西山さんは憧れなんです。それも、もともと奨励会員だった兄と仲が良くなって、そこから何度かお食事をさせていただいているんです。たしか最初にお会いしたのは小学校5年生くらいの頃で、当時の小さい頭を使って〈どの洋服を着ていこう、西山さんと何をお話ししようかな〉と自分なりに一生懸命に考えて行 った記憶がありますね(笑)」

 西山女流三冠への思いは、羽生九段に声を掛けられた「中飛車」戦法にも表れている。

「西山さんが奨励会員として活躍されてから、さらに女流タイトル戦などに登場してきたときに、中飛車を指されていたんです。それを見て、私は〈すごくカッコいい戦法だ!〉と思ったんです。中飛車って、大駒をバサバサッとさばいて、相手玉を最速で寄せていくような将棋ですよね。それがとてもカッコよく見えたし、ずっと〈西山さんのようになりたい〉と思って、西山さんの棋譜などを並べて勉強していたほどなんです」

大事な時間を奪ってしまうのは申し訳ないな……と

 こんな風に憧れを隠さない西山女流三冠とは、公式戦で2度対局している。

【次ページ】 〈憧れだから負けても仕方ない〉は、やめよう

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