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「SAGAアリーナでプレーオフをやらせて欲しい」佐賀バルーナーズのヘッドコーチが「クビを覚悟」で県知事に直訴した理由とは? 

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大橋裕之

大橋裕之Hiroyuki Ohashi

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2023/09/26 17:01

「SAGAアリーナでプレーオフをやらせて欲しい」佐賀バルーナーズのヘッドコーチが「クビを覚悟」で県知事に直訴した理由とは?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

佐賀バルーナーズの角田太輝選手。昨季はルーキーながらポイントガードとして出場を重ね、チームのB2制覇とB1昇格に貢献した

 角田はレギュラーシーズン、先発26試合を含む56試合に出場し、平均30分近いプレータイムを確保。平均9.8得点、3.3アシストを記録し、3ポイントシュート成功率とスティール数はB2でトップ10入りを遂げた。本人も、大学時代から定評のある「ディフェンス」が通用したと感じたほか、シューティングガードからポイントガードへのコンバートに、手ごたえをつかむ。

「レイナルドが怪我したときも全員でカバーし合って、自分もスタメンで出られて成長できたと思います。今まで苦しい状況だと焦ってミスをするパターンが多かったけど、しっかりとゲームをコントロールできたのではないかなと思います。コートを見る視野も広がり、ディフェンスもよく見られるようになりました」

初のB2制覇とB1昇格へ

 もちろん、その過程で経験の浅いポイントガードを務める故に、状況判断には苦労した。コートを見渡しながら相手のディフェンスを確認し、どう攻めるのか。どうプレッシャーを回避するのか。練習や試合をこなして得られる経験も多かった。ただ、先輩の存在が助けにもなったそうだ。日頃からガルシアとのマッチアップで鍛えられ、山下から試合で活を入れられたことも。ベンチでは「何度も声をかけてくださいました」という満原との会話も、彼のルーキーシーズンを支えていた。

 そして厳しいレギュラーシーズンを耐え抜いた先に、バルーナーズは45勝15敗の成績でレギュラーシーズン初となる西地区優勝を達成。指揮官の掲げた「プレーオフのホーム開催」を叶え、その勢いのままクォーターファイナルの福島ファイヤーボンズ戦、セミファイナルの西宮戦、ファイナルの長崎戦を6戦無敗で駆け抜け、初のB2制覇とB1昇格をたぐり寄せた。

 特にB2優勝を決めた長崎との頂上決戦は2戦とも終盤までもつれたが、GAME1は延長戦の末に勝ち切り、GAME2はガルシアがケガをするアクシデントもあったが乗り越えた。この試合でキャリアハイの31得点を叩き出した角田は「プレーオフもレギュラーシーズンを凝縮したような、最後はレイナルドがケガをして、僕がメインで出る展開でした。シーズンを通して積み重ねてきたチームの強さがコートで良い形で出せた」と、総括する。指揮官も「トップへ立てた要因は、チームが成長し続けることができたおかげ」と語った。

「クビを覚悟」で佐賀県庁へ

 一方で、B1昇格には、宮永HCが「クビを覚悟」で取った行動も奏功した。佐賀バルーナーズの地区順位が確定していない時期に選手たちにも伏せて、田畠寿太郎社長と佐賀県庁へ向かった。

【次ページ】 「クビを覚悟」で佐賀県庁へ

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