メジャーリーグPRESSBACK NUMBER

「打者・大谷翔平」は本当に試合に出続けて大丈夫なのか? 識者が解説する“右肘故障の影響”と“今オフ去就の焦点”「契約をめぐる判断は複雑化して…」 

text by

小早川毅彦

小早川毅彦Takehiko Kobayakawa

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2023/09/01 11:03

「打者・大谷翔平」は本当に試合に出続けて大丈夫なのか? 識者が解説する“右肘故障の影響”と“今オフ去就の焦点”「契約をめぐる判断は複雑化して…」<Number Web> photograph by Getty Images

打者として試合出場を続けている大谷翔平

 出場した7試合のバッティングを見ても、打撃フォーム自体に乱れもなく、しっかりとフルスイングできていると感じました。私が一番気になっていたのは、「空振りした時」の反応なんです。実は、ボールにバットが当たった時よりも、芯で捉えられず空振りした時の方が手首や肘に衝撃は来るもの。大谷はその「空振りした時」に関してもしっかりとスイングできており、痛みを感じているような反応もなかったので、おそらくバッティングに関しては全く問題なくできているのだと思います。

打者強行に残る不安は「走塁」と…

 なぜ打者として出場を続けているのか。その理由としては、プレーオフ進出へ望みがある限りは頑張りたいという気持ちや、現在アメリカン・リーグトップの44本塁打を放つなどタイトルへの意欲など色々な思いがあるのでしょう。ただ、普段の大谷の姿勢を見ていると私はそれ以上に純粋に大好きな野球のプレーをしていたいのだろうな、と感じています。影響がないのだから出来ることはやりたい、というのは大谷にとってごく自然な考えなのかもしれません。

 ただし、怪我の影響がないとは言え、本当に試合に出場し続けていていいのか、と言われると私にも心配な部分はあります。まず1つは、走塁時の不意の動きによる影響です。打席に入ってピッチャーのボールを打つ分には、自分の動きはコントロールできますが、出塁した際にスライディングをしたり、帰塁した際の予期せぬ動きなどで肩や肘に負担がかかる場面もあるはず。今のところ問題はなく出来ていますが、時には接触プレーも伴うだけに不安は否めないでしょう。

 もう1つは練習量という点です。日々のバッティング練習の中で、スイングの量などは流石に数を多くこなすことを控えているはず。直接痛みがなくても、肘を曲げたり伸ばしたりという動作はしているわけですから。残り30試合を切っていますが、コンディション維持は日頃の練習量の積み重ねによるところも大きいだけに、その影響という部分は少し気になる点です。

【次ページ】 故障が移籍に及ぼす影響は?

BACK 1 2 3 NEXT
大谷翔平
ロサンゼルス・エンゼルス
マイク・トラウト
小早川毅彦
ルイス・ロベルト

MLBの前後の記事

ページトップ