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「キャリア終わっちゃうんじゃない?」加藤未唯が”ボールガール騒動”の夜を告白!「夕食は3口だけ…」失格処分からなぜ優勝できたのか

posted2023/09/02 17:03

 
「キャリア終わっちゃうんじゃない?」加藤未唯が”ボールガール騒動”の夜を告白!「夕食は3口だけ…」失格処分からなぜ優勝できたのか<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

全仏オープンでの”ボールガール騒動”で失格処分を受けた加藤未唯。あの試合のことをあらためて明かした

text by

秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph by

Takuya Sugiyama

 世界的な話題となった失格処分から、四大大会初優勝へ。騒動の当事者はどのような心境で日々を過ごしていたのか。ダブルスのスペシャリストとして飛躍の好機を迎えた加藤未唯に、糧となる収穫と合わせて大会を振り返ってもらった。
 現在発売中のNumber1079号掲載の[四大大会初優勝]加藤未唯「天国と地獄で見えたもの」より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文はNumberPREMIERにてお読みいただけます】

 禍福はあざなえる縄の如しとはこのことか。6月の全仏で、加藤未唯は危険行為により女子ダブルスを失格。だがその数日後、ミックス(混合)ダブルスで自身初の四大大会タイトルをつかむ。天国と地獄を同じ大会で味わったのだ。事の次第はご存じだろう。加藤が故意にボールガールに球を当てたのではないのは明白だが、騒動になり、本人の動揺は大きかった。

「怖かったです。だれもこっちに来ないで、って思ってました。『最低だね』とか『テニスする資格ないよ』と言われる覚悟もちょっとできていて、言われてもしょうがないかなとは思っていましたが、選手に批判されて、自分の居場所がなくなったら、テニスどころじゃない。そんなんに立ち向かえるほど私、強くないなと思ったので、キャリア終わっちゃうんじゃない? と」

 その日の夕食はフルーツを3口だけ。喉が詰まったようになって、固形物が飲み込めなかった。ところが、思いがけず、選手、関係者のほぼ全員が擁護してくれた。

「仲のいい選手からはメッセージが来たり、直接声を掛けてもらったんですけど、挨拶くらいしかしたことない選手がメッセージをくれたり、『私は味方だし、前を向いてよ』とみんなに応援されたのは励みになりました。このまま終わっちゃ駄目だなと思えたので、すごくありがたかったです」

「つらすぎたら、ミックスダブルスはしなくてもいいよ」

 幸い混合ダブルスは競技続行を認められた。ただ、試合をするだけのエネルギーは湧いてこない。夢遊病者のようにコートに向かったが、パートナーのティム・プッツの顔を見て、切り替わった。

「もし、つらすぎたら、ミックスダブルスはしなくてもいいよ、って言ってくれて、逆に『これ、ちゃんとせなあかんな』と思って。うれしい言葉なんですけど、こんなこと言わせちゃうほど私、雰囲気悪かったんかなと思ったので、これはやらないと、っていうのが芽生えました」

【次ページ】 ようやく呪縛から解放されたという思い

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