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“野球経験ゼロのガリ勉京大生”がダルビッシュ有とDMを…万年最下位の京大野球部に変革をもたらした「素人アナリスト」とは何者なのか 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/08/11 17:02

“野球経験ゼロのガリ勉京大生”がダルビッシュ有とDMを…万年最下位の京大野球部に変革をもたらした「素人アナリスト」とは何者なのか<Number Web> photograph by JIJI PRESS

選りすぐりの秀才が集う名門・京都大学。学力と反比例するように、同大学の野球部は関西学生野球連盟のリーグ戦で“万年最下位”に甘んじていた

「えっ、こいつ、ダルビッシュとDMやってんの?」

 三原と部員が打ち解けるには少し時間がかかった。なにしろ、三原がグラウンドに顔を出すのは投手が投球練習をする日だけ。青木の方針で「好きな時に週1~2回、来てくれればいいよ」と伝えていたからだ。

 神奈川の栄光学園から京大に進学した外野手の出口諒は、講義中に目の前の席に座っているのが三原だと気づいた。

「そうか、同じ経済学部だったもんな」

 三原は講義を聞かずに、タブレット端末を熱心に操作していた。出口が興味本位で後ろから画面をのぞくと、そこには意外なものが映っていた。

「えっ、こいつ、ダルビッシュとDM(ダイレクトメッセージ)やってんの?」

 三原はSNSのメッセージ機能を使って、メジャーリーガーのダルビッシュ有とやりとりを交わしているところだったのだ。

「こいつ、いったい何者なんだ……?」

 謎の素人アナリスト・三原大知の大学野球は、ひっそりと始まっていた。

<「元プロ野球選手の鉄道マン」編から続く>

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