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「甲子園に行くってメリットあるんですか?」有望中学生の質問にハッとした話…好きなプロ野球選手は“とにかくカッコいい”マックス・クラーク 

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樫本ゆき

樫本ゆきYuki Kahimoto

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posted2023/08/03 11:02

「甲子園に行くってメリットあるんですか?」有望中学生の質問にハッとした話…好きなプロ野球選手は“とにかくカッコいい”マックス・クラーク<Number Web> photograph by Yuki Kashimoto

ポニーリーグ、6月のアジア大会「U16コルトの部」で優勝した日本代表選手たち

「サッカー、空手、水泳、サーフィン、スケボーといろいろなスポーツをしていたのですが、WBCか何かで野球を見て興味がわいて、小3のときに体験会に行き、小4のときにチームに入りました。家族は野球一家というわけではないです」

ふと思う「甲子園のメリット」

 小3というと、2017年のWBC……か? 優勝を逃した大会でも、小学生へのインパクトは大きかったようだ。松本が続ける。

「野球を始めたときから、甲子園に興味がわいたことが一度もなくて……。それに勝手なイメージですが、高校野球で甲子園を目指すくらい練習したら、勉強がおろそかになってしまう印象があるんです。もちろん、トラ(蔵並)や友達が甲子園に行ったら絶対応援しますけど、自分がやるってなったらどんな感じになるんだろうって考えました」

 松本の評判を聞いてスカウトに訪れた高校野球の関係者は一人や二人ではないそうだ。良い条件で誘ってくれる学校もある。そこでふと、思い浮かんだのが冒頭の言葉だったそうだ。「高校で野球をやるなら“高校野球”しかない、っていうのが日本なんですよね」。

 記者の取材経験では、中学生の選手10人と話せば8、9人は「高校野球を続ける」「甲子園に行きたい」と言うものだ。それが当たり前だった。「甲子園のメリット」を聞かれたことはなく、甲子園にたどり着くまでの努力や人間形成に価値があると思い、日々取材をしてきた。

 松本ももちろん甲子園、高校野球の素晴らしさは理解している。しかし他の選択肢がないことに素朴な疑問を抱いているという。こうした自分の考えをSNSで発信するそうだ。すると匿名者から「甲子園をなめるな」といったコメントを受けるという。「それもそうですよね、自分はまだ結果を出していないので」と受け止めている。

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