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26年前、日米騒然のメジャー挑戦…伊良部秀輝とは何者だったのか?「記者の名刺を目の前で破り捨て…」私が伊良部から“呼び出された日” 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/07/06 11:01

26年前、日米騒然のメジャー挑戦…伊良部秀輝とは何者だったのか?「記者の名刺を目の前で破り捨て…」私が伊良部から“呼び出された日”<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1997年、ヤンキース入団時の伊良部秀輝

メディアと対立…筆者が呼び出された日

 ヤンキース時代のメディアとの関係は、殺伐としていた。契約を結んでからデビューするまでの約1カ月間、球団のマイナー施設があるフロリダ州タンパで調整をしていたのだが、メディアに対して敵意むき出しの態度を見せ、報道陣を「金魚のふん」となじり、記者の名刺を目の前で破り捨て、ペンを奪い取って真っ二つに折ったこともあった。その一挙一動はすべて記事となり、ヒールのイメージはますます濃くなっていった。

 筆者自身、伊良部ともめたことがあった。1999年のことだ。

 思い返すと当時は記者としてまだまったくの駆け出しで、選手との距離感や日々の取材の中で直面する暗黙のルールのようなものも、よくわかっていなかったと思う。

 あれは、伊良部が思うような投球ができず早い回で降板した試合だった。試合後のクラブハウスでも、苛立ちが収まらなかったのだろう。不機嫌そうな表情で報道陣と少し喋ったあと、水の入った紙コップを叩きつけるようにゴミバケツに投げ入れた。

 その登板の内容と試合後の苛立ちの様子を記事に書いた数日後のことだ。試合後にクラブハウスに入っていくと、伊良部に声をかけられた。

「ちょっと来い」

 手には新聞が握られていた。

〈つづく〉

#2に続く
「まるで太ったヒキガエルだ」伊良部秀輝を名物オーナーが口撃…2人の話には続きがあった「ふてぶてしくも危うい」私が見た“悪童と呼ばれた男”

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