プレイオフ1回戦、グリズリーズとの初戦で3Pショットを6本中5本決め、チーム最多の29得点をあげて勝利に貢献した後、八村は言っていた。

「コーチ・フィルといっしょにフィルムを見ていたときに『彼らはインサイドを固めて守ってくるから、練習でやってきたのと同じシュートを打てる』と言われたんです」

　練習後や試合の前にハンディACと取り組んできた練習と的確なアドバイスがあっての活躍だったのだ。八村が自信をもってプレーし、飛躍した大きな理由だった。

29得点を記録したグリズリーズ戦　©︎Getty Images

　シーズンを通して、ハンディACのアドバイスは八村の支えになった。加入直後に自分の役割が見つけられずに苦労していたときには、「チームのなかでどんな役割ができるか、いっしょに見つけよう」と励まされた。3月下旬に試合に出られなかったときも、「この先、重要な試合で君の力が必要になるときが必ずあるから、その時に備えよう」と言ってもらい、前を向くことができた。

「ルイはとても成長したと思う」

　ウィザーズで八村と1シーズン半の間チームメイトで、レイカーズで再びチームメイトになったトロイ・ブラウンJr.は、今シーズン、ディフェンスや3Pショットなど、色々な面で八村の成長を感じたという。

「ルイは（ウィザーズ時代と比べて）とても成長したと思う。レイカーズに来た当初は自分の役割を見つけるのに少し苦労していたようだったけれど、シーズンが進むにつれて活躍し、プレイオフでそれを見せていた。彼の3Pショットの能力について疑問の声も多くあったけれど、グリズリーズとのシリーズで多くの3Pを決めたし、ウォリアーズとのシリーズでも活躍した試合があった。ディフェンス面でも、彼が反対側から来てブロックしたり、ジョーカー相手に守ることができたのを見ることができた」

　レイカーズに入ってから、八村が楽しそうにプレーすることが増えたことについて聞くと、ブラウンJr.はこうも語った。

「このチームのケミストリーがよかったのだと思う。みんながお互いの活躍を喜んでいた。他のチームではスターターになれる選手が大勢いたけれど、みんながチームとして戦っていた。みんな、契約の状況は完璧ではなかったけれど、それでも優勝するという共通の目標があり、ひとつにまとまった。それによって、自然とバスケットボールを楽しむことができるようになったのだと思う。ほかのことを心配する必要がなかったんだ」

　レブロン・ジェームズやアンソニー・デイビスの存在も大きかった。

　ハムHCは言う。

「レブロンも彼に目をかけて、ワークアウトをいっしょにやっている。ルイにとって、すばらしい環境だと思う」

　勝ちに飢えていた八村にとって、レブロンのもとで、チームとして戦うことの重要性、そのために自分がどんなプレーをするべきなのかを学び、選手としての方向性がはっきりしたシーズンでもあった。

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