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“ご意見番”武蔵丸の苦言、横綱大関ゼロの異例場所「貴景勝は最初から休場でもいいんだよ」「公傷制度復活、僕は反対…ズル休みが出ちゃう」

posted2023/03/29 11:00

 
“ご意見番”武蔵丸の苦言、横綱大関ゼロの異例場所「貴景勝は最初から休場でもいいんだよ」「公傷制度復活、僕は反対…ズル休みが出ちゃう」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

大相撲春場所の初優勝から一夜明け、桜の下で喜ぶ新関脇・霧馬山(モンゴル出身)

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武蔵川光偉

武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide

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JIJI PRESS

 新関脇の霧馬山が優勝決定戦に持ち込み、大栄翔を下して初優勝したね。おめでとう。これもひとつの運だよ。横綱大関がいなかったし、そのぶん残りの三役陣が頑張った感じがする。14日目に関脇若隆景が休場し、不戦勝になったのもラッキーだったな。霧馬山のいいところは”相撲がはっきりしていないところ”。当たってくるか変化してくるか、何をしてくるのかわからないから、相手は読めないんだよ。いろいろなことを仕掛けて来てたまに空振りすることもあるんだけれどね。毎回のように相撲が違っているのに、千秋楽の一番と優勝決定戦は2回とも同じ相撲だったけどな(笑)。優勝を経験したこれからは、ひとつの型を磨いてほしい。いい突っ張りを持っているから、手の出し方、突っ張ってからの中への入り方など、もっと細かい動きを研究してね。それと、もっと前に出る相撲を取ってほしいよ。霧馬山は足腰がいいから、つい下がったり粘ったりしてしまうんだけれど、下がる相撲はケガに繋がる。力も体もあるんだから、前に前に! ね。

「公傷制度復活、僕は反対」

 綱取りだった大関貴景勝は、7日目から休場で振り出しに戻ってしまい、若隆景も14日目から休場。場所前からケガの状態が悪かったのなら、最初から休場してもいいんだよ。中途半端な状態で出てきても、結局、悪化させて途中休場することになってしまう。僕も横綱時代、初日に膝の半月板をケガしてしまい、テーピングを巻いて出場したけれど、土俵に上がるだけでキツかったものだよ。横綱土俵入りも大変で……。でも、出場したからには最後までやろうと出続けたら、優勝しちゃったんだけどね(笑)。僕のことだからどうにかなっただけで、みんな体も大きくないし、無理をせずにいてほしい。これからの季節はどんどん暖かくなっていくし、特に夏はケガが治りやすいんだ。だから番付を気にせず、焦らずに治療すればいいよ。

 公傷制度復活は、僕は反対。制度が廃止になったのは、当時、悪用してズル休みをするヤツらが出てきちゃったからなんだよ。制度が復活したら、甘えが出てきて同じことになってしまうのでは、と思ってる。ちゃんとすり足やてっぽう、四股の基本的な稽古をして相撲用の筋肉を付けていけば、ケガは間違いなく減るよ。

「身長204cmあるのに…何もしないんだよ(笑)」

 小結で11勝した若元春は、相撲がはっきりしていていいよなぁ。弟の若隆景はおっつけて前に出るタイプだけど、お兄ちゃんの若元春は四つ相撲で足腰もよくて相撲の流れがいい。左四つの形がいいんだ。今、馬鹿力のあるデカいお相撲さんが少ないし、ここのところ一場所一場所結果を出していて、今後が期待できるよね。

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