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「年俸5億8000万円超(出来高満額)で鎌田大地に残留提示」と報じられたが…ブンデス給与体系に見る“利益化するルールの数々”とは 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2023/03/12 17:00

「年俸5億8000万円超(出来高満額)で鎌田大地に残留提示」と報じられたが…ブンデス給与体系に見る“利益化するルールの数々”とは<Number Web> photograph by Itaru Chiba

ブンデスリーガ屈指のプレーメーカーの評価を得ている鎌田大地。彼の去就から着想し、ドイツの給与体系を掘り下げる

『トップ選手』
『レギュラークラス』
『チャレンジャー』

 現状で『トップ選手』に含まれるのはゲッツェと、ドイツ代表GKでパリ・サンジェルマンから出戻りという形でフランクフルトに復帰した経緯のあるトラップくらい。2人の年俸は、300万ユーロ(*4億3500万円)が基本給で、出来高によって高額なボーナスが設定されているという(*本稿ではすべて1ユーロあたり145円で計算)。

『レギュラークラス』には文字通りのレギュラー級の選手が該当しており、このカテゴリーでは左センターバックが主戦場のエンディカが最低クラスで120万ユーロ(1億7400万円)。彼はもはやその給料で収まる選手ではないため、今夏の移籍が確実視されている。

鎌田に対してゲッツェ以上の契約を用意したとも

 なお、鎌田も現行契約では『レギュラークラス』に属しているそうだが、クレシェGMは最大級の評価をしている。

「私たちは、彼ら(*鎌田とエンディカ)とともにさらに長く、ともに働きたいと将来のキーマンとして見ている」

 報道によれば鎌田には『トップ選手』として、ゲッツェと同等以上の契約を用意していたという。そこでフランクフルトが提示したのは、出来高給が満額になればクラブ史上最高額の400万ユーロ(5億8000万円)を超えるものだったようで、クラブが彼らをいかに高く評価しているか、一目でわかるはずだ。

 もっとも、ヨーロッパの移籍市場では鎌田にはそれ以上の価値があると評価されており、本人が幼いころから抱いてきた夢が「CLで優勝すること」であるため、今シーズン末の契約満了のタイミングで移籍するのがほぼ間違いないと見られている。

若手獲得に関する“明確な2つの方針”とは

 フランクフルトは他にも、若手獲得に関しての明確な方針を持っている。

 1:基本的な選手の契約期間は最長で3年だが、20代半ばまでの選手とは5年契約まで認める。
 2:将来の確実な成長が見込まれ、高額の移籍金を残した上でのメガクラブへの移籍がほぼ確実だと思われる選手には、獲得時点の市場価値の4倍までなら支払ってもよい。

 1のような方針を持っているのは、クラブのプロ選手育成システムに自信を持っているからだろう。フランクフルトでコンスタントに試合に出るようになれれば2~3年程度でその選手のキャリアのピークに成長させられると彼らは考えており、その時点で売却(他のクラブへ移籍)するか、契約を延長するかを決められるようにするための方針だ。若手の契約期間にゆとりがあるのは、契約時に判断できないだけの伸びしろがあり、ピークに達するために2年では十分ではないという考えがあるとみられる。

【次ページ】 デンベレ、サンチョ、ベリンガムに見るドルトムントの仕組み

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