Sports Graphic Number SpecialBACK NUMBER

[ロングインタビュー]井上尚弥「4団体統一ボディはまだ進化の途中」

posted2023/01/12 07:05

 
[ロングインタビュー]井上尚弥「4団体統一ボディはまだ進化の途中」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

text by

渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

アジア人初の偉業を成し遂げたモンスターの視線は既にスーパーバンタム級に向いていた。わずか1.8kgの差が生み出す壁の見通しや戦い方の変化、そして心・技・体の優先順位など、己のフィジカルについて語り尽くす。

 それは紛れもなく偉業だった。

 12月13日、井上尚弥はイギリスのWBO王者、ポール・バトラーに何もさせず、格の違いを見せつけた。アジア人初、バンタム級史上初の4団体統一である。東京・有明アリーナを埋め尽くした1万5000人は歴史の目撃者になれたことを誇らしく思った。

 あの興奮からおよそ2週間後、閑静なホテルの一室で井上に話を聞く機会を得た。4団体統一王者はいつにも増して落ち着いていた。現在の心境を問うと、少し戸惑ったように、意外な言葉を口にした。

「今回は4団体統一という節目の試合で、関係者やファンの方々から見たら偉業なのかもしれません。ただ、自分の中ではそこまで“やり遂げた”という感覚ではないんです。だから余韻に浸ることもない。ほっとひと息つくという感じでもない。いつも通り1週間くらい何もせずに休んで、もうロードワークを始めています」

 自らのパフォーマンスに納得できなかった、あるいは試合の中身に何か不満が残ったということだろうか。

「あれが早いラウンドのKO勝ちだったとしても気持ちは変わらないと思います。自分の中では勝って当たり前の試合でしたから。だから、たぶんこれからあの試合を振り返ることもない。会長から次の試合の見通しもだいたい聞いているので、自分としては立ち止まっている暇はなく、次に向けて、という心境なんです」

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 6728文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

関連記事

井上尚弥
ポール・バトラー
八重樫東
ノニト・ドネア
山中慎介
ジェイミー・マクドネル
ファン・カルロス・パヤノ

ボクシングの前後の記事

ページトップ