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しゃがみこむ木原に三浦が寄り添い…“りくりゅう”ペアがお互いに抱いていた“不安”「初めてプレッシャーと戦う経験に」<GPファイナル初優勝> 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2022/12/12 17:00

しゃがみこむ木原に三浦が寄り添い…“りくりゅう”ペアがお互いに抱いていた“不安”「初めてプレッシャーと戦う経験に」<GPファイナル初優勝><Number Web> photograph by Asami Enomoto

フリーの演技を終え、思わず顔を近づける2人。演技直後、お互いに抱いた感情は相重なるものだった

「8年ぶりくらいにサルコウでミスを…」(木原)

「僕自身、8年ぶりくらいに(トリプル)サルコウでミスをしてしまって、僕のせいでいい点が出ないんじゃないか、っていう悔しい気持ちがありました。点数が出る前は不安な気持ちが大きかったです」(木原)

「ジャンプとスローのミスで申し訳ないなと思っていたので。点数待ちの間は、ずっと不安な気持ちがありました」(三浦)

 冒頭のツイストリフトでNHK杯を上回る評価を得たが、続くサイドバイサイド(2人が隣り合った位置で同じ技をすること)の3連続ジャンプでは三浦の最初のジャンプが2回転になった。トリプルサルコウでは、木原の言うように、手を突く場面が見られた。

 だから得点を待つ間に不安が生まれた。木原の目からは自然と涙があふれた。それも悔しさと、不安からだった。

ミスが出た要因となったのは、重圧だった

 だがその涙の意味は一変する。表示された得点は136・50点、フリー1位。ショートとの合計得点は214・58点。2位に1.30点差をつけての優勝が確定した瞬間、木原に加え、三浦の目にも涙があふれた。

 フリーでミスが出た要因となったのは、重圧だった。

 木原は言う。

「初めてプレッシャーと戦う経験になりました」

 今シーズンはグランプリシリーズ2戦ともに優勝でファイナルに進んだ。優勝という結果だけでなく、2大会で残した得点から見ても、ファイナルでは優勝候補、それも最も優勝に近い存在と期待を集めるにふさわしかった。

 そして試合ではショートで好演技を見せ1位になったが、2位とはわずか0・43点差。期待を集める中、重圧がのしかかった。

【次ページ】 互いに語りかけるような2人の表情

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