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「林下詩美は強い。そのイメージを取り戻したい」王座陥落から1年弱…“カッコいい女”はスターダムの頂に返り咲けるのか《特別グラビア》 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2022/11/17 11:03

「林下詩美は強い。そのイメージを取り戻したい」王座陥落から1年弱…“カッコいい女”はスターダムの頂に返り咲けるのか《特別グラビア》<Number Web> photograph by Essei Hara

刀羅ナツコとの再戦を経て「完全復活」へと歩みを進める林下詩美。11月19日、朱里が持つ赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)に挑む

 11月19日、大阪府立体育会館。林下は朱里の10度目の防衛を阻止して、王座返り咲きを果たすことができるのだろうか。いずれにせよ、壮絶な戦いになるだろう。今年のベストバウトも期待できる。赤いベルト戦の勝者は12月29日、両国国技館のメインに立つことになる。

ユニットリーダーとしての役割は「怖いお姉さん」

 ベルトを失ってからの林下は、どんな毎日を送っていたのだろうか。

「いいこと? うーん、特に何もないです(笑)。試合以外は、あまり起伏のない生活を送っていますね。悪いこと? 初代IWGP女子王座トーナメントで負けたくらいかな。赤いベルトがなくなってから、精神的には楽になりました。プレッシャーを抱えなくていいというのは大きい。この1年は、素のままの自分でプロレスを楽しんできました。

 でも、気持ちの変化はありましたよ。クイーンズ・クエスト(QQ)のリーダーになったので、ユニットのことを考えるようになりました。今はユニットの選手たちをよく見ています。赤いベルトを持っているときは、そっちで手いっぱいでしたから」

 3月、QQには“超新星”と称されるルーキーの天咲光由が加入した。ただ、林下は後輩に教えるのはあまり得意ではないようだ。

「できないと言われると、『なんで?』って思っちゃうんです。私自身が器用で、なんでもできちゃうので(笑)。役割的には『こら!』って叱る怖いお姉さんですかね。自分が練習生のときも怒られて成長したので、まあ愛のムチですよ。私はムチ担当、AZMちゃんが優しくアドバイスして、上谷(沙弥)が甘やかす(笑)。それはそれで、いい感じにバランスが取れていると思います」

 もちろん、ユニットを率いるリーダーとして、昨年の「女子プロレス大賞」受賞者として、無冠のままでいるつもりはない。

「さすがにそろそろ、ベルトを巻きたいなと思っています。やっぱり赤いベルトは欲しい。先に赤いベルトですかね。初代のIWGP女子は逃したけれど、これもいずれ取りたい。学生時代からIWGPは見てきたので。やっぱり思い浮かぶのは棚橋(弘至)さん、オカダ(・カズチカ)さん。あの2人のやり取りにすごく感動しました。『IWGPは遠いぞ』って言われて、オカダさんが泣きながら帰っていくシーン。前の私と麻優さんみたいで、今あらためて棚橋さんの言葉を重く受け止めています。IWGPという歴史ある名前を、スターダムで背負いきれるのか。取るのも大変ですが、取った後も大変そうだな、と」

【次ページ】 プライベートは「やばい生活」も、スイッチが入ると…

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