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「生理になると、先頭で逃げたくない…」25歳で突如引退、大分のアイドルジョッキーが直面していた“性差”「競馬場では男子トイレを使っていました」 

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大恵陽子

大恵陽子Yoko Oe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/10/30 17:02

「生理になると、先頭で逃げたくない…」25歳で突如引退、大分のアイドルジョッキーが直面していた“性差”「競馬場では男子トイレを使っていました」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

20年前の2002年、25歳で突如引退し、競馬の世界から姿を消した小田部雪さん。アイドル的な人気を博した現役当時の話を聞いた

小田部 中学2年生の秋に父の厩舎からデビューする騎手がいたんです。中津は田舎の競馬場で、普段は取材もそんなに来なかったんですけど、デビューを控えて取材を受ける姿を見て「かっこいいな」と思いました。当時、中津競馬の売り上げは少しずつ落ちていて、子供ながらに廃れていっているのを感じていました。男社会の中で、女の私が騎手になったら話題になってお客さんも増えてくれるかも、と考えました。

――期待通り、デビュー日から多くのマスコミが来たそうですね。

小田部 もう、めっちゃ恥ずかしかったです。実際に自分が取材を受けると、「そんな見らんで(見ないで)」と思いました。

――デビュー前に描いていたものとギャップがあったんですか?

小田部 取材やお客さんの数が想像以上だったんです。「最年少17歳デビュー」と新聞にバーンと出たので、お客さんも集まっていただいたんだと思います。

 デビューの日は騎手として右も左も分からなくて、父がたぶん他の調教師にお願いをしてくれて「乗っているだけで勝てるだろう」と言われるような強い馬に乗せていただいたんですけど、緊張してペース配分も何も分からず、ゴール前でタレて3着。負けて帰ってきたのに、レース後は写真を撮られて恥ずかしいし、取材に来た人たちとも会いたくなかったです。勝っていたら、また気持ちも違っていたんでしょうけどね。デビューに合わせて装鞍所(馬がレースの準備をする場所)の一部を改装して、畳の部屋と洗面台を置いて更衣室にしてくれたんですけど、そこに隠れていました。でも、扉を開けた瞬間、またカシャカシャってシャッター音がしていました。

仲良く喋っているだけで「付き合っている」と噂されました

――まさに一挙手一投足が注目されていたんですね。一緒に仕事をする競馬関係者の間でも、プライベートや恋愛関係など噂をされたことは?

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小田部雪
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