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世界王者・宇野昌磨が語った”4回転の神”マリニン17歳の衝撃!「僕よりクオリティも高い」本人は「皆が簡単に跳ぶねと言うけれど…」  

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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posted2022/10/10 17:01

世界王者・宇野昌磨が語った”4回転の神”マリニン17歳の衝撃!「僕よりクオリティも高い」本人は「皆が簡単に跳ぶねと言うけれど…」 <Number Web> photograph by JIJI PRESS

ジャパンオープンでマリニンと初対戦、僅差でおさえ1位となった世界選手権王者の宇野昌磨

「僕よりジャンプのクオリティも高い」

「ジャンプ構成もすごいけれど、すべてのジャンプを質よく跳んでいたことに刺激を受けました。単純に見る側の気持ちになって、凄いなあって。マリニン選手の方が僕よりジャンプのクオリティも高い。今季、自分がなにを目指すべきか、そこに目標があったみたいでうれしかったです」

 試合前日から火花を散らした3人。迎えた本番は、それぞれの魅力と課題があらわになる演技だった。宇野は、冒頭の4回転ループ、4回転サルコウ、4回転トウループ、トリプルアクセルのすべてを着氷。難度の高いジャンプをしっかりと決める、上々の滑り出しだった。しかし演技後半の「4回転+3回転」の連続ジャンプが「4回転+2回転」に。これは、宇野がシニアに上がってからずっと苦戦しているものだ。フリー193.80点の高得点で1位につけた。

「去年1年で培われた体力や(4回転5本の)ジャンプ構成が、新シーズンにも生きた初戦でした。ただ『4回転+3回転』は、去年もフリーでは一度も入れられていません。今年はアクセルを連続ジャンプに入れられるルールに変わったので『4回転+3回転』をやらなくても良いのですが、やはり『練習で出来ているのに、なぜ試合では出来ないのか』を謎のままにするのではなく、探り出して自分の成長に繋げたいと思っています」

 また三浦は、冒頭で3種類の4回転ジャンプを成功。昨季よりもジャンプの難度を上げて、後半の4回転が2回転になった以外はしっかりとまとめた。しかし演技後半はスピードが落ちて苦しそうに滑る場面もあり、169.94点での3位となった。

「初めてのジャパンオープンで、緊張感と空気を楽しむことができて、練習よりちょっと上手くいったかなという感じです。でも演技は『美女と野獣』の、野獣がまだ8割といった感じでした」

マリニンが4回転アクセルについて打ち明けたこと

 そして最終滑走のマリニンは、その才能と成長を十分にアピールした。冒頭の4回転アクセルは、着氷で左手をついてしまうミス。すぐに立て直すと、残る3種類4本の4回転はすべて着氷した。またジャンプだけでなく、柔軟性を生かしたスピンや、コレオシークエンスでは片手側転も披露。身体能力の高さが詰め込まれたプログラムだった。193.42点で僅差の2位となったが、その内訳は、技術点が106.84点の首位で、PCSは3項目とも8点台後半での86.58点。3週間前のUSクラシックではPCSが77.75点だったことから考えると、驚異的な評価の伸びだった。

 マリニンは演技後、さまざまな思いを打ち明けた。

【次ページ】 「まず羽生選手の跳び方を研究し…」

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