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《MotoGP王者の帰還》ホンダ勢トップタイムで再始動! マルク・マルケスがいきなり本気のテストで見せた凄みとは

posted2022/09/09 17:00

 
《MotoGP王者の帰還》ホンダ勢トップタイムで再始動! マルク・マルケスがいきなり本気のテストで見せた凄みとは<Number Web> photograph by Satoshi Endo

約3カ月ぶりのライディングにもかかわらず、いきなり実戦的な内容のテストをこなしたマルケス。マシンの改善はそれだけ急務と言える

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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Satoshi Endo

 5月末のイタリアGPを最後に戦列を離れているマルク・マルケスは、6月上旬、米国ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックで右腕上腕骨の再手術を受けた。回復が待たれるなか、9月6〜7日にイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ(以下ミサノ)で行われた公式テストに参加、ついに復帰に向けて始動した。

 2日間で100ラップをこなしたマルケスが残したタイムは、テストライダーなど含む28人の参加者中、トップから0.588秒差の総合13番手。テストはチームや選手によってそれぞれメニューが異なるので単純に比較はできないが、比較の対象となるホンダ勢の中でトップタイムをマーク。相変わらず、恐ろしいほどのポテンシャルを感じさせた。

 2日間のテストを終えたマルケスは、こう語った。

「テストは決して簡単なものではなかった。シーズン最初のテストもそうだが、MotoGPマシンから数カ月離れるだけでも疲れを感じるし、MotoGPマシンのスピードを実感する。今回は手術後ということで、さらに難しかった。最初の走行はMotoGPマシンの力強いパワーが印象的だった。その後、一歩ずつスピードが上がり、それから徐々に快適さを感じた。長い距離やレース距離を走るには、まだまだ肩と腕の筋肉を鍛えなければならないことに気づいた。僕にとっても、ホンダにとっても重要なテストだった」

 約3カ月ぶりにMotoGPマシンに乗ったマルケスは、最初はフィーリングを確かめるように走り、7ラップでピットに戻った。それからはコースインしてからきっちり6ラップか5ラップでピットに戻る、というのを6回繰り返して39ラップを走行。初日は手術した右腕の状態を確認しながらの走行でトップから1.103秒差となる18番手のタイムを残した。2日目は、終日走行して61ラップをこなした。この日の大半を5ラップしてピットに戻るという走行に費やし、総合13番手となる1分31秒642というタイムを残した。

復帰後に待ち受けるホンダの困難な状況

 このテストは、マルケスの右腕の回復度合いを知るための走行になるのかと思っていたが、2日目は3台のマシンを乗り換えてさまざまなテストにトライ。車体、スイングアームの仕様違い、フェアリングもいくつかテストして、その違いをチェックした。手術から3カ月ぶりの復帰にもかかわらず、マルケスの仕事は想像以上に実戦的だった。

 最終的にマルケスが選んだのは、22年型の車体とアルミ製のスイングアームの組み合わせに、カウルはやや丸みを帯びたプロトタイプ。2日間の締めくくりにこの車体で走行した。今回のテストは来季に向けてマシンの開発の方向性を見極めるものなのだろう。すべてのメニューを終え、マルケスはテストの成果をこう語った。

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