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《絶滅危惧種》「ピッチャー大きく振りかぶって」は死語になる? 松坂大輔の代名詞・ワインドアップの未来 今夏の甲子園では… 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/09/07 11:00

《絶滅危惧種》「ピッチャー大きく振りかぶって」は死語になる? 松坂大輔の代名詞・ワインドアップの未来 今夏の甲子園では…<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

甲子園を席巻した平成の怪物・松坂大輔の豪快なワインドアップ投法。“絶滅危機”の投法が甲子園で見られなくなる日は近い?

「振りかぶれば反動がついてスピードも出やすいですが、そう投げなさいとは教えていないと思います。少年野球でも変化球は投げていいので、振りかぶるとクセが出やすいという理由も少しはあるかもしれませんが、それよりもフォームのバランスでしょうね。それまで振りかぶっていたのが、走者を許すとセットになりますよね。その時にバランスを崩してコントロールが乱れてしまう子がいるので」

 以前の流れは小学生から中学、高校、大学、社会人、プロと自らと相手のレベルが上がるにしたがって、越えがたい壁にぶつかった時に「バランス」を選んで、振りかぶるのをあきらめていた。キャリアの最後までやりきれたのが、先の3人を代表とするエース級だったわけだ。ところが、今は12歳以下であっさりと見切りをつける。練習で工夫するのではなく、即決で球速よりバランスを選ぶのは、結果最優先、勝利至上主義の現れかもしれない。

絶滅危機の理由は球速よりバランス重視? 

 吉見さん自身、もともとはワインドアップ投法だったという。

「僕は社会人(トヨタ自動車)の時に、ノーワインドアップに変えました。それは(同時期にシダックスに在籍した)野間口(貴彦)さんに憧れたからなんです。子供たちはプロ野球選手がかっこいいと思えば、マネをします。逆に今後、そうした投手が出てくれば……。振りかぶれば反動がつくメリットもありますしね」

 少年はプロを模倣する。かっこいいと思ってもらえれば、振りかぶる子供たちも再び増える。楽天の岸孝之、広島の大瀬良大地、阪神の西勇輝など実力派は健在だし、若手の希望の星には同じく阪神の西純矢がいる。豪快に振りかぶり、フォームのバランスも崩すことなく結果を残せば、未来のプロの心にも響くかもしれない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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