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「金メダル以外いらない」俳優・藤本隆宏がストイックすぎる五輪代表&日本記録スイマーになるまで「自分を認めてもらえる場所が水泳だった」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/07/26 17:00

「金メダル以外いらない」俳優・藤本隆宏がストイックすぎる五輪代表&日本記録スイマーになるまで「自分を認めてもらえる場所が水泳だった」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

NHKドラマ『坂の上の雲』広瀬武夫役などで知られる俳優の藤本隆宏。俳優となる前は水泳のオリンピアンでもあった藤本に話を聞くと…

 練習自体も、大雑把に言えば毎日同じメニューで、泳ぎこむばかりだった。だが藤本は、個人メドレーを専門種目に中学時代には全国大会に出場し上位に食い込むまでになっていた。

「全国大会で優勝する選手も出たり、なぜか強かった。不思議な学校でした。みんな純粋だったからかもしれない。ほかを知らないからというか」

 水泳そのものは好きではなかったという。

「やっぱり練習は苦しいですから。生まれ変わったら水泳をやろうとはあまり思わない」

 それでも続けた理由を語る。

「負けず嫌いというのもありましたし、自分を表現できる場所、認めてもらえる場所が水泳でした」

もしかしたらオリンピックに行けるかもしれない

 世界中の人から認めてもらえるオリンピックという舞台を意識したのは、高校2年のときだった。

「当時の自由形の日本記録を持っていた緒方茂生さんという方がいました。アメリカにいらっしゃったのですが日本で練習するということになって、その練習相手として私が選ばれました。高校2年の終わり頃でしょうか。そこで日本一の方と一緒に練習することになって少しずつ意識がかわりました。緒方さんを天才だと思っていたんですけど、人間らしい一面を知ったというか、練習で調子悪いときにあのスーパースターが涙を流したり。『俺、水泳をもうやめるよ』と言ったり、コーチから怒られたりしているのを見て、『あ、同じ人間なんだな』と思った。もしかしたらオリンピックに行けるかもしれないと意識したのは緒方さんのおかげと言っていいかもしれません」

 藤本は高校3年生の1988年、ソウル五輪の200m、400m個人メドレーに出場する。ともに予選敗退で終えたが、この大会で藤本に大きな影響を与える出来事があった。100m背泳ぎで鈴木大地が金メダルを獲得したのである。

【次ページ】 金メダルだけが目標だったバルセロナ五輪

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