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大谷翔平は本当にピッチングに専念したほうがいいのか? 日米成績の比較から分かる、「投手オオタニが打者オオタニに追いつく日」

posted2022/06/28 11:02

 
大谷翔平は本当にピッチングに専念したほうがいいのか? 日米成績の比較から分かる、「投手オオタニが打者オオタニに追いつく日」<Number Web> photograph by Getty Images

ロイヤルズ戦で今季6勝目を挙げた大谷

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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 エンゼルスの大谷翔平が22日(日本時間23日)、本拠地でのロイヤルズ戦に「2番・投手兼DH」で出場し、8回2安打無失点&3打数1安打2四球で、今季6勝目を挙げた。試合後の囲み会見では、「投手・大谷」が今、メジャーリーグ(MLB)で着実にステップアップしていることを感じさせるコメントが出てきた。

「しっかり打者を観察しながら。最後の方は変化球が多かったですけど、真っ直ぐでしっかり切り替えて。投げるところで投げて打ち取れて良かったかなと思います」

 全体の7割前後になった「曲がる系」の変化球は、スライダーやカーブ、そしてカッターと、カウントによって違うコースに投げ分ける。そして、打者の意識が「曲がる系」に大きくシフトすると見るや、今度は速球で押す。

 シンプルかつナイスピッチングで、結果的に彼はメジャーリーグ(MLB)移籍後、自己最多となる13三振を奪った。日本プロ野球(NPB)での最多である16奪三振(2014年7月9日の楽天戦)には及ばなかったものの、日本人の投手が1試合13個以上の三振を奪ったのは、2019年9月17日のダルビッシュ有の13奪三振(レッズ戦)以来、3年ぶりの快挙である。

 この試合の初回、大谷は無死一、二塁のピンチにアメリカンリーグ(AL)新人王の有力候補、ボビー・ウィット・Jr.を、時速97.4マイル(約156.7キロ)の速球で空振り三振に仕留めて、MLB通算300奪三振を記録した。244回1/3での同記録への到達は、ダルビッシュの242回1/3に次ぐ日本人歴代2位のスピード記録である。

打者成績と投手成績を比較すると…?

 今季ここまでの90奪三振はAL5位で、メジャー全体でも8位タイだった。9回あたりの奪三振率11.85はリーグ3位と先発投手の中でも突出しており、先行気味だった「打者・大谷」に「投手・大谷」が追いついてきた感がある。

 実際のところ、MLBにおける「打者・大谷」はすでに、NPB時代のそれを凌駕している。

 打撃に関して言えば、積算の成績はすべて、MLBでの記録がNPBを上回っている。だからこそ、「投手・大谷」の成績が「打者・大谷」に遅れを取っていることに違和感を持ってしまうのだが、今季は「投手・大谷」のベストシーズンだった昨季の数字を上回りそうな勢いで投げている。

 大谷は昨季23試合に先発して9勝2敗、防御率3.18、156奪三振という好成績を残した。今季はすでに12試合に先発して6勝4敗、防御率2.90、90奪三振と昨季以上に安定しており、このままなら昨季惜しくも逃した「二桁勝利」も思いのほか早く達成しそうだ。

【次ページ】 スモルツの指摘「もしも大谷が投球に専念したら…」

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