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「フトンサービス7500円」「禁断マッサージ暴露本と種馬扱いのDF」ユーベ主力らが日韓W杯の裏で起こした“破廉恥スキャンダル” 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2022/06/27 17:01

「フトンサービス7500円」「禁断マッサージ暴露本と種馬扱いのDF」ユーベ主力らが日韓W杯の裏で起こした“破廉恥スキャンダル”<Number Web> photograph by AFLO

2000年代前半、華やかなりし頃のユベントス。強さの土台だった鉄壁DF陣が起こした「破廉恥スキャンダル」とは?

 前年の01年1月、4人のインテル選手に売春婦を囲んでの乱交パーティ疑惑が持ち上がった。インターネット上で会員制の売春婦派遣サイトが密かに流行し始めた頃の話で、地方検察の別件捜査から露見したものだ。

 当時はSNSもスマホもまだ普及していなかったから、クラブ広報が選手の関与を全面否定する声明を出せば、醜聞は収まった。火消しにはそれで十分のはずだった。

 だが、声明を出した直後の囲み取材で、マルコ・タルデッリ監督(当時)が漏らした一言で騒動は再炎上。

「記者諸君、君らが買春したとしてもそれを記事には書かないだろう?」

 指揮官の失言は事実上“うちの選手たちはクロだが、それを正直に外部に言うはずがない”と認めたも同然で、チームの規律は緩みきっていた。

スキャンダルの選手は嘲笑と野次の対象に

 タルデッリ失言の翌日、練習場にはインテリスタ有志の横断幕が掲げられた。

 “今日の食堂メニュー → スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ(娼婦風スパゲッティ)”

 恥まみれのチームへの批判と叱咤、そして皮肉が込められていた。チームに一喝をくれたのはファンだった。

「ビバ・レイン事件」でも、ユベントスの5人をはじめ事情聴取を受けた選手たちは、事件の収束後もしばらくの間、国中のスタジアムで嘲笑と野次の対象となった。

 世紀をまたいだ当時、欧州サッカー界では誰もが荒ぶっていた。

 イタリアでは個人の売春行為自体は違法事由と見なされず、黙認されている。

 行為そのものは“自身の能力をもって(労働の)対価を得る権利に相当する”というのが理屈だ。

 その代わり、立案した上院議員の名をとって1958年に定められた通称「メルリン法」75条では、売春場所の提供や組織的運営、複数の人間と共謀しての行為幇助等あらゆる斡旋行為を刑法違反と見なしている。筆者の友人である刑事裁判官曰く「寂れた国道にいる“立ちんぼ”を送迎するタクシー運転手も刑事罰の対象だ」。

「ビバ・レイン」はその後、どうなった?

「ビバ・レイン」はガサ入れ後に閉鎖され、女主人ら5人にはそれぞれ短い懲役刑が科された。出所後、あるマッサージ嬢はTV界進出を試みるも失敗しポルノ女優になり、ある者は数年後に場末のストリップ劇場で目撃された。

【次ページ】 「そそる男」「地中海」「種馬」の暗号で呼ばれて

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