「相手のプレッシャーを受けて、どうしても上手くつなげない試合や時間帯はあります。『そういうこともある』と思えるようになったのは良かったかもしれないです」

――良い意味で、割り切って判断できていたと？

「『後方からしっかりつないでいくのは難しいかな』というときは、後ろから見ているとハッキリわかります。特にドイツでは、試合序盤にお互いにプレスをかけて、ボールを取ったり取られたりで、ガチャガチャする時間帯があるじゃないですか。その状況が落ち着くまでは、思い切ってロングボールを蹴ってみる。しっかりビルドアップをしようとする意志はみんなに持ってほしいのですが、臨機応変な状況判断ができるようになってきたかなと思います」

――昔からそういう判断は得意だったのですか？

「いや、以前は無理してでも、パスをつなごうとするタイプだったと思います。ただ、チームスポーツだから、そういう考えだけではダメ。それに、前線に蹴って前の選手が競り勝てるのであれば、一番手っ取り早いわけで。その判断は以前より良くなったというか、柔軟に考えてやれるようになったかもしれません」

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寂しいですよ。1年間、みんなと良いシーズンを送れたし

　レンタル移籍中の身ながら、わずか1シーズンでシャルケの中心選手となった板倉は、チームへの残留を望んでいた。ただ、今シーズンの活躍が目覚ましかったため、移籍市場での評価はグッと高まった。報道によると、多くのクラブが興味を示している状況であるため、保有権を持つマンチェスター・シティは板倉の移籍金を減額しない意向だという。その額は資金難にあえぐシャルケが払えるものではなく、完全移籍への移行は実現しなかった。

　板倉がシャルケで奮闘したからこそ、シャルケにいられなくなる――という皮肉な結果になってしまった。そこに悪者は1人もいない。シャルケを去ることが決まった直後、板倉はこう話した。

「やはり、寂しいですよ。1年間、みんなと良いシーズンを送れたし、僕としても、ブンデスリーガでみんなとやりたい気持ちはありました。そして、その想いはシャルケ側からもすごく感じ取れて。『（移籍金の支払いについても）なんとかするから』とずっと言ってくれていたし。ただ、こればかりはシャルケは悪くないし、僕もどうすることもできないので。

　でも、まずは感謝したいです。シャルケというクラブに呼んでくれたことと、あれだけのビッグクラブでプレーするチャンスをもらえたことに。1部に昇格したのに去ることになったのは寂しいですけど、（責任を果たしたという意味では）ホッとしているというか。満足ではないですけど、最低限の目標をみんなと達成できたことは素直に嬉しいです」

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