「フィールドは問わない、って自分の中では思っています。せっかく、こうやってたくさんの知名度がある中で、こうやってたくさん……需要って言うと自分の中ではちょっと変な感じがしますけど、こうやってたくさん見ていただける羽生結弦のスケートっていうものを、ちゃんと僕自身、もっともっと納得できるような形にしていきたいです。もっともっと皆さんが見たいって思ってもらえるような演技をしていきたいってやっぱり思うので。それがアイスショーなのか、競技なのか、それが報われるのか、報われないのか、僕にはちょっと分からないので。いろいろ考えたうえで、でもどっちにしろ、自分は皆さんに見ていただいたときに、『やっぱ、羽生結弦のスケート好きだな』って思ってもらえる演技を続けたいと思います」

　2022年のファンタジー・オン・アイスでは久しぶりに国内外のトップスケーターとともにショーを創り上げ、アーチストたちと場を共有した。観客の人々とともに空間を共有した。その中にいた羽生の姿は、進むべき先をもう見出しているかのようであり、いつものように「ありがとうございました！」と感謝の言葉を叫んで退場した羽生にとって、後押しを得たような大切な舞台だった。

©️Asami Enomoto